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Apple、全製品をリサイクル材生産 株主総会で構想表明

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【シリコンバレー=白石武志】米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は23日、オンラインで開いた年次株主総会で将来的にすべての製品をリサイクル材だけを使って生産する構想を示した。素材の採掘や精錬などに伴う温暖化ガスの排出を抑えるとともに、発展途上国の鉱山における児童労働問題にも対処する狙いとみられる。

アップルは2020年7月にすべての製品の生産を通じて排出する温暖化ガスを30年までに実質ゼロに抑える「カーボンニュートラル」を実現すると発表し、ESG(環境・社会・企業統治)を重視する機関投資家の注目を集めた。クック氏は23日の株主総会の質疑応答のなかで「もう一つの大きな目標は、いつの日か地球から何も採らずにすべての製品を作ることだ」と表明した。

例えばパソコンやスマートフォンなどに使われるアルミニウムは精錬の際に大量の電力を消費している。リチウムイオン電池向けに需要が急増しているコバルトの採掘をめぐっては、主な産地であるアフリカのコンゴ民主共和国の鉱山で児童労働が問題視されている。

アップルは17年に発行した環境報告書のなかで再生可能な部品やリサイクル材の利用を拡大する方針を示しており、回収したスマートフォン「iPhone」を分解するロボットの開発などを進めている。クック氏はリサイクル材への全面移行について「一朝一夕にできないことだとは分かっている」としつつ、「本当に大きなことをなし遂げなければならないという強い思いが社内に芽生えている」と述べた。

株主とのやりとりでは、米議会で法改正の動きがある反トラスト法(独占禁止法)に関する質問もあがった。今後の規制強化によって収益源であるアプリ配信サービスのビジネスモデルを変更せざるを得なくなるのではないかと懸念する株主の声に対し、クック氏は「アップルは我々が競争しているどの市場においても独占的な地位を有していない」と指摘。「今の焦点は、アプリストアのエコシステムの成功を進展させ、さらに強固なものにしていくことだ」と強調した。

株主総会はクック氏ら8人の取締役の選任議案など3件の会社提案を賛成多数で承認し、質疑応答を含めて約1時間で終了した。役員報酬制度の見直しなどを求める2件の株主提案については否決した。今年の株主総会は新型コロナウイルスの影響で初めて全面オンラインで開いたが、アップルは22年については例年通り米カリフォルニア州の本社での開催を目指すとしている。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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