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COP26へ排出削減加速 国連演説、途上国と溝も

英国のジョンソン首相は中国に国内での石炭火力発電の段階的廃止を求めた(22日、ニューヨークの国連本部)

【ニューヨーク=白岩ひおな】10~11月に控える第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を前に、各国が二酸化炭素(CO2)排出量削減の取り組みを加速する。異常気象や山火事などの脅威も広がるなか、各国は27日まで続く国連総会の演説で気候変動対策への関与拡大を相次いで表明し歩み寄りをみせる。一方で経済成長への影響を懸念する途上国と溝は残り、先進国による支援を求める声も上がった。

「人類にとっての転換点だ」。COP26の開催国である英国のジョンソン首相は、22日の演説で各国に排出削減に向けた行動を前進させるよう求めた。各国の現状の削減ペースでは産業革命前と比べた今世紀末の世界の気温上昇は2.7度に達する見通しだ。上昇幅を2度未満、できれば1.5度以内に抑える地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」の目標実現は遠い。

世界の排出量のうち、約4割は中国と米国が占める。最大の排出国である中国の習近平国家主席は21日の演説で「海外で石炭火力発電所を新たに建設しない」と約束した。ただ、国内については対象としておらず、英国は中国が国内での石炭火力発電からも段階的に撤退するよう求めている。中国は排出量の削減も「2030年までにピークを迎え、60年までに実質ゼロを達成する」従来目標を据え置いた。

バイデン米大統領は21日、気候変動の危機に直面する途上国への支援額を24年までに年間114億ドル(約1兆2500億円)に倍増すると表明した。米国は35年までに電力部門を脱炭素化し、50年までに温暖化ガス排出量実質ゼロ(ネットゼロ)を達成する目標だ。

先進国による年間拠出額は目標の年1000億ドルを下回っており、支援の上積みは「先進国が気候変動対策で相当額の資金援助を果たすことを期待する」(ブラジルのボルソナロ大統領)といった声に呼応したものだ。ボルソナロ氏は同国が「環境面で大きな課題を抱えている」とも認めた。

一方、途上国との温度差も残る。排出量で第3位のインドのモディ首相は25日の演説で「経済と環境保全の両方のバランスを取る」と述べ、排出削減の具体的な目標は示さなかった。

「歴史上で温暖化を招いた国がまず主な責任を負うべきだ」。トルコのエルドアン大統領はパリ協定への批准を同国議会に諮ると表明しつつ、こう付け加えた。トルコはこれまで「先進国」としての貢献が求められる協定の負担の重さへの懸念から主要20カ国・地域(G20)で唯一、批准していなかった。トルコはこの夏、観測史上で最悪の山火事を経験し、政府の対応の遅れに批判が集まった。

各国は熱波や山火事など、気候変動がもたらす脅威に直面している(カリフォルニア州)=AP

23日、気候変動による自然災害や資源をめぐる紛争など安全保障面での影響と対策を議論した国連安全保障理事会の会合では、問題解決に向けた立場の違いも浮き彫りになった。ロシアのポリャンスキー次席大使は「気候変動が国際平和と安全への脅威だという前提では、複雑で微妙な議論に不必要な政治的要素を持ち込んでしまう」と語り、会合自体に異議を唱えた。ブリンケン米国務長官は「安保理がこの問題でいかに権限を行使するかを協議すべきだ」と反論し、気候変動と安全保障は切り離せないと主張した。

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