ニューヨーク市地下鉄、車両に防犯カメラ 通勤客の安心感狙う - 日本経済新聞
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NY市地下鉄、車両に防犯カメラ 通勤客の安心感狙う

(更新)

【ニューヨーク=弓真名】ニューヨーク州都市交通局(MTA)は地下鉄の全車両に防犯カメラを導入する。地下鉄の安全性への懸念が広がり、乗客数が新型コロナウイルス禍前の6割程度にとどまっている。通勤客の安心感を高め、在宅勤務からオフィス出社への流れをさらに後押しすることを狙う。

MTAが23日に更新したデータによると、9月の地下鉄利用者は感染拡大前の2019年の同じ期間と比べて6割程度にとどまる。社会・経済活動がコロナ前の活発さを取り戻すなか、地下鉄利用者数の回復が遅れていた。

ニューヨーク州のホークル知事は20日、安心・安全な地下鉄をアピールし利用者を増やす新たな計画を発表した。MTAは近く、各車両に2つずつ防犯カメラの設置を始める。25年までに設置を完了する予定だ。設置費用は約550万ドル(約8億円)で、国土安全保障省からの補助金200万ドルも活用する。

地下鉄の安全性への懸念は強く、働く人の出社への大きな障害となっている。全米でオフィスビルの出退勤システムを管理するキャッスル・システムズによると、9月14日時点のニューヨーク市内の出社率は46.6%だった。9月5日の祝日のレイバーデー(労働の日)から職場復帰する人は増えているが、コロナ前の水準には届いていない。

MTAが今月発表したアンケートによると50%以上の地下鉄利用者が乗車体験について「不満」「とても不満」と回答した。車内で挙動不審な行動をとる乗客や、駅構内にホームレスが多いことなどから治安に懸念を示す利用者が多い。

NY市警によると、7月には地下鉄内で殺人を含む約350件の事件が発生した。発生件数は直近のピークだった3月(約500件)より減っているものの、依然として高止まりしている。

すでに地下鉄の構内や一部の車両には1万個以上の防犯カメラが設置されている。ただ、4月にブルックリン区で発生した地下鉄での銃乱射事件では、防犯カメラが壊れており、その後の捜査は難航した。すでに設置しているカメラも順次、点検・修理する。

在宅勤務からオフィス出社を後押しすることは、失業率の改善にもつながる。市内の8月の失業率は6.6%と、全米平均(3.7%)を大きく上回る。オフィスで働く人を増やすことで、飲食店などサービス業を中心に雇用を増やすことにつながると期待している。

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