Microsoft、FTCの提訴に反論 「ソニーや任天堂に後れ」

【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトは22日、米ゲーム大手の買収をめぐって米連邦取引委員会(FTC)が起こした訴訟について、反論書を提出した。ゲーム機の販売でソニーグループや任天堂の後じんを拝しているほか、モバイルゲームではほぼ存在感がないと主張した。買収を競争法違反とするFTCに異議を唱えた。
FTCは8日に、マイクロソフトによる米アクティビジョン・ブリザードの買収を阻止するため両社を訴えた。687億ドル(発表時のレートで約8兆円)にのぼる買収を通じてマイクロソフトがアクティビジョンの人気ソフト「コール・オブ・デューティ」などを抱え込み、消費者に不利益が及ぶことを懸念している。
マイクロソフトは22日の提出文書でゲーム機のシェアを示し、21年の「Xbox」の販売台数シェアが16%にとどまると主張した。「スイッチ」を持つ任天堂(50%)やソニーGの「プレイステーション」(34%)に及ばず、独占タイトル数も2社より少ないという。「3位の会社がゲームを1つ獲得したところで、激しい競争をひっくり返すことはできない」と強調した。
成長が著しい世界のモバイルゲーム市場で、売上高ベースでのマイクロソフトのシェアが0.3%にすぎないことも開示した。アクティビジョンを買収しても、約4%にとどまる。マイクロソフトはモバイルゲームの強化を買収理由の一つに掲げている。
同社は囲い込みの指摘をかわすため、任天堂などに「コール・オブ・デューティ」を10年にわたって供給することで合意している。「品質の高いコンテンツをより多くの方法で、より安く消費者に提供することこそ法が促進すべきことであり、阻止すべきではない」と主張した。
FTCは、マイクロソフトが以前の買収で欧州委員会との約束を守らずにソフトの囲い込みをしたとも指摘していた。この指摘については「誤りだ」と反論。「(当時の買収では)ソニーの既存の独占権を尊重し、将来はケース・バイ・ケースになると明言していた」と説明した。
マイクロソフトのブラッド・スミス社長は22日の声明で「裁判に自信があっても、規制当局と、技術分野の競争、消費者、労働者を守るための創造的な解決策を講じるため全力を尽くす」と述べた。和解を探るとみられるが、FTCと合意できなければ23年8月から裁判が始まる見通しだ。