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米、中国対抗へアフリカ接近探る 国連外交を再始動 

上院、元アフリカ担当国務次官補を国連大使に承認

(更新)
トーマスグリーンフィールド米国連大使は中国への対抗に向けてアフリカ諸国との関係づくりがカギを握るとみる=AP

【ワシントン=中村亮、ニューヨーク=吉田圭織】米議会上院は23日、国連大使にリンダ・トーマスグリーンフィールド元国務次官補を承認した。オバマ政権でアフリカ担当の国務次官補を務め、ナイジェリアやケニア、リベリアに赴任した経歴があり、アフリカ外交の実務に精通する。国際協調を重視するバイデン政権は中国と緊密な関係にあるアフリカ諸国への接近を探り、国連で中国抑止を目指す。

上院は本会議で賛成78票、反対20票で、黒人女性のトーマスグリーンフィールド氏を承認した。同氏は35年間の外交官経験を持ち、オバマ政権での国務次官補(アフリカ担当)時代には、エボラ出血熱の対策に奔走した。ナイジェリアなどアフリカ諸国のほかパキスタンなどにも赴任した経歴がある。

ブリンケン国務長官は23日の声明で「国連や多国間の枠組みで我が国の立場を修復するために正しい人選だ」と強調した。バイデン政権は多国間外交を推進し、トランプ政権の「米国第一」からの転換を目指す。米国は3月、国連安全保障理事会の議長国を務め、人権や気候変動、ミャンマー対応などで国際協調に向けた手腕がいきなり試される。

国連大使の人選はトランプ政権と大きく異なる。トランプ政権で国連大使を務めたニッキー・ヘイリー氏やケリー・クラフト氏は外交経験が乏しかった。とくにクラフト氏は夫がトランプ前大統領の大口献金家として知られ、トランプ氏との近さが大使起用の決め手だとの見方が目立った。

最大の焦点は国連で影響力を伸ばす中国への対応だ。トランプ前政権は国連を軽視し、その間に中国が影響力を増したとの見方は多い。ブルッキングス研究所のジェフリー・フェルトマン客員研究員は2020年秋のリポートで「中国が影響力を行使し、多国間システムから人権などの価値観を徐々に排除していくことを懸念する」と指摘した。トランプ政権が国連を軽視し「中国が国連に浸透することを容易にする」と警鐘を鳴らした。

中国の存在感が顕著に表れるのが人権分野だ。トランプ政権は18年、イスラエルを不当に扱っていると主張し、国連人権理事会を脱退した。中国は今年1月から理事国に加わった。バイデン政権はオブザーバーとして人権理事会への復帰を決めたが、理事国に比べて権限は大幅に限られる。

20年10月には人権問題を扱う国連総会第3委員会で米欧を中心に39カ国が共同声明で、中国による香港の自治侵害などについて「重大な懸念」を表明した。これに対して「香港問題は中国の内政問題だ」として中国を擁護する共同声明には50カ国以上が署名。米欧を圧倒し、対中国包囲網づくりを阻止した。声明はパキスタンが主導したが、中国と緊密に連携していた公算が大きい。署名国の約半分をアフリカが占めた。

中国は国連の15専門機関のうち国際民間航空機関(ICAO)や国際電気通信連合(ITU)など4機関のトップを務め、産業政策などの国際的なルールづくりに深く関わる立場にある。主要7カ国(G7)がトップを務めるのは代行を含め、合計で4機関にとどまる。

トーマスグリーンフィールド氏は1月の指名公聴会で、国連での中国の影響力を抑えるカギはアフリカとの緊密な関係だと指摘した。アフリカは安保理非常任理事国の10枠のうち3枠を持ち、影響力を行使するために「中国はアフリカ3カ国に頼ることができる」(フェルトマン氏)からだ。トーマスグリーンフィールド氏は「私がアフリカ大陸全体で築いた非常に強い関係を生かす」と力説した。

ブリンケン氏は1月下旬の就任直後、南アフリカの外交トップやアフリカ連合(AU)委員長と電話協議し、アフリカとの関係強化に意欲を示した。米メディアによると、バイデン政権内には東アフリカ地域の政情不安や紛争を扱う特使を創設する案も浮上しているという。

ただアフリカ接近のハードルは高い。中国は経済支援を通じてアフリカ諸国と関係を深め、米国が資金面で競争するのは困難だ。バイデン政権は民主主義や人権を重視し、強権的な国家体制をとるアフリカ諸国とは相いれない。

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