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バイデン外交始動 中国・北朝鮮包囲網へ協調重視

ホワイトハウスで演説するバイデン大統領(22日)=ロイター

バイデン米大統領は22日、カナダやメキシコの首脳と電話協議し、外交を本格スタートさせた。アジアでは中国や北朝鮮による挑発行動の阻止へ包囲網の構築をめざす。強硬姿勢を維持しつつ、国際協調重視へカジを切る。バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権は衝突回避を優先して「弱腰外交」との批判も浴び、結局は中国の強権大国化や北朝鮮の核開発を防げなかった。その教訓を生かせるかが課題だ。

米ホワイトハウスによると、バイデン氏は22日、カナダのトルドー首相との電話で経済や安全保障などの分野で協力を確認した。20日の就任後、首脳間の電話協議は初めて。同盟国との対話優先をアピールした。日本や韓国、オーストラリアなどアジア太平洋の同盟国の首脳とも近く電話する。

外交の焦点の一つは経済・安保について世界で影響力を高める中国にどう対応するかだ。議会上院は22日午前、オースティン元陸軍大将を国防長官に承認した。オースティン氏は同日午後にさっそく国防総省を訪れ、中国に対する戦略や部隊運用を確認した。同氏は19日の議会公聴会では「中国は最も憂慮すべき競争相手」と指摘し、対中強硬姿勢をにじませた。

国防長官に就任したオースティン氏=ロイター

バイデン政権は同盟国と協調し、中国を封じ込めるための包囲網構築を目指す。ブリンケン次期国務長官は米国が世界に占める国内総生産(GDP)は25%だが、同盟国や友好国を合わせると50~60%になると説明。「中国が無視するにはかなり大きな比重だ」と指摘し、対中結束で中国に政策変更を迫る考えをにじませる。

トランプ政権も日豪印などインド太平洋を軸に対中包囲網の構築をめざしたが、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の排除を単独で決定し、各国に追随を要求。拒否すれば軍事情報の共有を停止するなどと脅した。各国は経済面でつながりの深い中国との関係を急速に悪化させる強硬措置を取りにくく、トランプ政権の試みは道半ばに終わった。

中国に向き合うためには、日米豪印の連携の深化に加えて、アジア諸国の米国への疑心暗鬼の払拭もバイデン政権の課題となる。オバマ政権は中国に対抗するため「アジアシフト」を掲げたが実効性は伴わなかったとの批判は多い。同じ轍(てつ)を踏むとの懸念がくすぶる。

オバマ政権の元海軍高官は2012年ごろに南シナ海で中国の挑発行動が強まった際も「中国を刺激してはならないとの雰囲気が強かった」と振り返る。同高官は「アジア各国から(フィリピンなどの)同盟国をなぜ見捨てるのかと電話で何度も尋ねられた」と説明し、米国への信頼が失墜したと断じる。世界を束ねる余力を失った米国がどこまで信頼を回復できるか、道のりは険しい。

中国側もバイデン政権の対中姿勢の変化を読み取ろうと分析を急いでいる。共産党関係者が習近平(シー・ジンピン)指導部を含め党内で広く共有していると語るシンクタンクの報告書では、ブリンケン次期国務長官やレモンド次期商務長官らの対中強硬姿勢を警戒。一方でオースティン国防長官の起用は「アジア太平洋での軍事競争をエスカレートするような措置をとらない」ことを示唆しているとした。

北朝鮮の核・ミサイル問題を巡っては、サキ大統領報道官が22日の記者会見で「世界の平和と安全保障にとって深刻な危機だ」と指摘。同盟国である日本や韓国との連携を重視し、新たな対北朝鮮戦略をまとめると表明した。「戦略的忍耐」を訴え、結局は北朝鮮の核・ミサイル開発を黙認したとの批判が根強いオバマ外交の教訓をどう生かすかが問われる。

バイデン氏に近い関係者は「北朝鮮の非核化に向けて首脳外交が必要だ」との見方を示す。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長(当時、現在は総書記)とのトップ会談で非核化を狙ったトランプ氏の「判断が間違っていたとは思わない。問題は適切な準備を怠ったことだ」と評価する。北朝鮮が実務者レベルの協議だけで実効性のある非核化措置を確約する可能性は限りなく低いとみるためだ。

まるわかりバイデン政権始動

(ワシントン=中村亮、北京=川手伊織)

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