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米FDA幹部に退任圧力 アルツハイマー新薬承認巡り

【ニューヨーク=西邨紘子】エーザイと米バイオ製薬バイオジェンが開発したアルツハイマー型認知症治療薬「アデュカヌマブ」(製品名・アデュヘルム)の新薬承認を巡り、米食品医薬品局(FDA)への批判が高まっている。専門家で構成する諮問委員会がこの薬の承認を勧めなかったにもかかわらず、FDAが承認に踏み切ったことが問題視されている。同局の幹部に辞任を求める声も出始めた。

民主党のジョー・マンチン上院議員は17日、バイデン大統領に書簡を送り、FDAのジャネット・ウッドコック長官代行について「指導力に疑問がある」として、別の人物を長官に正式任命するよう求めた。FDAが諮問委員会と意見を異にしながらアデュカヌマブを承認したことを巡り「最低限、説明すべきだ」と批判した。

消費者保護の米非営利団体、パブリック・シチズンの医療関連リサーチ担当ディレクター、マイケル・カローム氏も16日、米保健福祉省長官に宛てた手紙で、ウッドコック氏を含むFDA幹部3人に辞任を求めるよう要求した。病状の深刻さなどについて制限なくアデュカヌマブが承認されたことは「科学を無視するものであり、FDAの歴史でも最も無責任でひどい判断だ」と厳しく批判した。

アデュカヌマブは、後期の臨床試験の一つでアルツハイマー型認知症の原因物質とされるたんぱく質「アミロイドベータ」を除去する効果が認められ、FDAの承認につながった。認知症発症前の患者の脳にアミロイドベータの蓄積が認められることから、同物質を除去することで認知機能低下の抑制につながるとの期待がある。

ただ、アミロイドベータの蓄積と認知症発症の関連性については不透明な部分もある。FDAの諮問委員会は2020年11月、アデュカヌマブが認知機能の低下を抑制できるという証拠は不十分だとして、この薬の承認に否定的な判断を下した。今年6月、FDAが諮問員会の提言にそわずに新薬承認を認めると、判断に抗議する形で諮問委員3人が相次ぎ辞任した。

FDAの幹部は退職後、製薬企業の顧問などに「天下り」する例が多く、そうした慣行は過去にも問題視されてきた。「今回の当局(の新薬承認)の動きで最も利益を享受するのはバイオジェンとその株主だ」(カローム氏)と患者より製薬業界寄りの判断だったと見る向きもある。今回の承認をきっかけに当局と製薬業界との距離を問う声も再燃している。

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