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バイデン氏「持続可能な未来へ行動を」気候変動サミット

先進国と途上国で溝も

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【ニューヨーク=白岩ひおな】バイデン米大統領は22日に開幕した気候変動に関する首脳会議(サミット)で演説し「持続可能な未来に向けて行動すべきだ」と呼びかけた。「今後10年で気候変動危機による最悪の結果を避けるための決断をしなければいけない」と述べ、各国・地域の首脳に温暖化ガスの排出削減に向けた協力と行動を求めた。

先進国は相次いで新たな削減目標を表明したが、途上国からは経済成長への配慮や支援を求める声も上がった。

米政府が主催するオンライン形式のサミットには40の国・地域の代表が出席した。バイデン氏は米国の2030年の二酸化炭素(CO2)排出量を05年に比べて50~52%減らす目標を打ち出した。温暖化対策でトランプ前政権の消極的姿勢から転換し、中国に次ぐ世界2位のCO2排出国として脱炭素をめぐる国際協調を主導する。

菅義偉首相は日本が温暖化ガスを30年度に13年度比で46%削減すると述べた。従来目標の26%から引き上げる。排出量では米中とインド、ロシアに次ぐ第5位だ。脱炭素電源の活用など企業の投資促進を通じ「50%削減への挑戦を続ける」と述べた。

カナダのトルドー首相は30年までに排出量を05年比で40~45%削減すると明らかにした。従来目標の30%から引き上げ、19日に示した36%からさらに上積みした。ドイツのメルケル首相は欧州連合(EU)加盟国と欧州議会が30年までに温暖化ガスを1990年比で「少なくとも55%減」とすることで合意したと表明した。フランスのマクロン大統領は「脱炭素への移行には炭素価格の設定が不可欠だ」と訴えた。

演説では先進国と途上国の溝も目立った。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は「より良い生活と良い環境を求める人々の願いと、将来の世代に対する責任を十分に考慮すべきだ」と語り、開発や経済成長と環境配慮のバランスを取る必要性を指摘した。「途上国の気候変動対策への貢献を認め、途上国特有の困難や懸念に対応する必要がある」と述べ、先進国に途上国が低炭素に転換するための協力を呼びかけた。

中国の石炭消費量を「26~30年にかけて徐々に減らす」と表明した。CO2排出量については30年までにピークを迎え、60年より前に実質ゼロを実現するとした従来目標を示したが、米側が求めていた削減目標の強化には応じなかった。米中だけで世界のCO2排出量の4割を占める。

第3位の排出国であるインドのモディ首相は「30年までのCO2削減に向けて米国と協力する」と述べるにとどめた。1人あたりのCO2排出量は世界平均より60%も低いと強調し、削減目標には言及しなかった。ロシアのプーチン大統領は「クリーン技術に投資する外国企業に優遇措置を検討する」とした。20年秋に30年の温暖化ガス排出量を90年比で7割に抑える国家目標を立てており、新たな削減目標は示さなかった。

気候変動対策では、11月に開く第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)がヤマ場となる。グテレス国連事務総長はCOP26をめぐり、先進国に途上国を資金と技術の両面で支援する提案を求めた。議長国を務める英国のジョンソン首相は「温暖化対策と経済成長は同時に達成できる」との考えを強調した。

ジョンソン氏は、英国が90年以降に温暖化ガスの排出量を42%減らしつつ73%の経済成長を実現したと説明した。自国の経済成長への影響を懸念する途上国にも温暖化対策の取り組みを広げたい思惑が透ける。10月に20カ国・地域(G20)首脳会議を開催するイタリアのドラギ首相も「世界全体の温暖化ガスの75%を排出するG20の国々に強力な成果を求めたい」と述べ、結束を促した。

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