米銀パックウェスト、投資会社から14億ドル調達

【ニューヨーク=斉藤雄太】米銀持ち株会社パックウェスト・バンコープは22日、傘下銀行のパシフィック・ウェスタン・バンクが米投資会社のアトラスSPパートナーズから14億ドル(約1850億円)の資金を調達したと発表した。米銀シリコンバレーバンク(SVB)破綻後の信用不安でパシフィック・ウェスタンからも預金が流出し、流動性の強化を迫られた。
カリフォルニア州地盤のパシフィック・ウェスタンは2022年12月末の総資産が411億ドルと全米53位の中堅銀行で、中小・ベンチャー企業向けの商業銀行業務を手がける。22日に開示した資料によると、20日時点の預金総額は271億ドルと22年12月末から68億ドル(2割)減った。大半がベンチャー向け銀行事業からの流出で、SVB破綻の影響で預金引き出しが殺到したとみられる。
パシフィック・ウェスタンは資金繰り強化の一環として、アトラスSPパートナーズから資産担保型の融資で14億ドルを調達した。同社は米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントなどが昨秋、スイスの金融大手クレディ・スイス・グループの証券化事業を買収して立ち上げた会社だ。
米連邦準備理事会(FRB)の「連銀窓口」といわれる融資枠から105億ドル、SVBの破綻後に新設された「銀行タームファンディングプログラム(BTFP)」から21億ドルを借り入れるなど、公的な資金繰り支援策も多く活用した。この結果、パシフィック・ウェスタンの20日時点の利用可能な現金は114億ドル以上になり、預金保険の保護対象外の預金95億ドルを上回るという。
同行のポール・テイラー最高経営責任者(CEO)は声明で「過去1週間における預金と流動性の安定に勇気づけられている」と述べた。一方、同行は財務基盤の強化に向けて増資も検討したものの、足元の不安定な相場環境を踏まえ見送ったことも明かした。持ち株会社のパックウェストの株価は21日までの2週間で5割超下落し、22日も前日比17%安と一段と下げた。

米テクノロジー企業への融資で知られ、米西海岸シリコンバレーのエコシステムの中核を担ってきたシリコンバレーバンク(SVB)が2023年3月10日、経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入りました。関連する記事をお読みいただけます。
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