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デジタルドル「急がず」 FRB議長、慎重に研究継続

(更新)
パウエルFRB議長は、デジタルドルは「世界で最速である必要はない」と述べた=AP

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は22日の討論会で、中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)の発行について「ドルは世界の基幹的な準備通貨であり、世界で最も早くCBDCを投入する必要はないし、この事業を急ぐ必要もない」と述べた。中国が「デジタル人民元」の実用化を視野に入れる一方、米当局は改めて慎重に研究を続ける方針を強調した。

パウエル氏は国際決済銀行(BIS)が主催したCBDCに関する国際シンポジウムで討論会に臨んだ。日銀が今春にもCBDCの実証実験を開始するなど、世界の主要中銀はデジタル通貨の発行の是非を検討している。パウエルFRB議長も「技術の進歩への理解に対して、われわれは最先端でいる責務がある」と主張したが、導入の可否は「現時点でなんらかの決断をしようという状況ではない」と述べた。

CBDCの利点についてパウエル氏は「決済システムの効率化や包摂化」などを挙げた。米国では低所得層を中心に家計の5%が銀行口座を持っておらず、民主党内にはFRBに家計向けの口座を提供させる案もある。「包摂化」とは、金融サービスをあらゆる所得層に提供することを意味する。

一方でドルのデジタル化によるリスクも列挙して「サイバー攻撃やマネーロンダリング(資金洗浄)に加え、金融システムの安定への懸念もある」などと指摘した。基軸通貨ドルがサイバー攻撃などで取引不能になれば、世界経済は危機的状況に陥りかねない。実用化を急ぐ中国などとは一線を画し、パウエル氏はデジタルドルを慎重に研究していくと強調した。

もっとも、新型コロナウイルス危機によって、生活者にはデジタル通貨へのニーズが強くある。パウエル氏も「即時決済がより求められるようになった」などと指摘。「生活者は銀行に出向くことができず、遠隔操作で金融取引をしたいニーズもある」とも強調した。

討論会にはドイツ連邦銀行のワイトマン総裁も参加した。同氏もCBDCは銀行預金と競合する可能性があるとして「銀行離れのリスク」が生じると指摘。欧州中央銀行(ECB)としても注意深く検討を進める必要性を強調した。

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