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ロシア、中南米で対米けん制 ニカラグアが軍の駐留許可

【メキシコシティ=清水孝輔】ロシアが中南米の反米政権との連携を強めている。中米ニカラグアは共同訓練や緊急事態への対応を目的としたロシア軍の駐留許可を延長し、受け入れ体制を整えた。ウクライナ侵攻で苦戦するロシアは中南米に大規模な部隊を配備する余裕はないが、「米国の裏庭」への関与を示して米国をけん制する狙いがある。

ニカラグアのオルテガ大統領は7月から12月末までロシア軍の駐留を認める大統領令に署名した。同国は緊急事態対応などを理由に外国の軍隊や軍用機の駐留を認めており、半年ごとに対象国や規模を更新している。対象国にはロシアだけでなく、米国やキューバ、ベネズエラも含まれる。

オルテガ政権はウクライナ侵攻で国際社会から非難を受けるロシアに対しても駐留許可の延長を認め、議会も承認した。大統領令は前回に比べてロシアに関する記載を増やし、最大230人の兵士の受け入れを認めた。「人道支援の訓練」のために80人、「麻薬密売や国際犯罪組織への対応」のために50人などロシアから受け入れられる人数を明記した。

ロシア外務省のザハロワ情報局長は6月、オルテガ政権の駐留許可の延長について「人道支援や緊急対応、麻薬撲滅など多方面で協力するための通常の手続きだ」と説明した。その上で「ニカラグアとは幅広い分野で対等な協力関係を築いてきた。これは防衛や新たな課題・脅威と戦うための協力にも当てはまる」とも述べ、ウクライナ侵攻で制裁を強める米欧をけん制した。

ニカラグアの動きに対し、米政府や中米の周辺国は警戒を強めている。ニコルズ米国務次官補(米州担当)は「ニカラグア政権による挑発だ」と指摘した。隣国コスタリカのロドリゴ・チャベス大統領はニカラグアの駐留許可を「懸念している」とコメントした。

ただ、ニカラグアの動きは冷戦時代の1962年に核戦争のリスクが強まったキューバ危機のような軍事緊張にはつながらないとの見方が多い。ニカラグアのモンカダ外相は駐留許可について「外国軍の基地を受け入れるわけではない」と説明し、対外攻撃に関わる部隊や武器の受け入れを否定した。ロシア側もウクライナ侵攻で苦戦しており、米国との軍事衝突のリスクを避ける必要がある。

米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のライアン・バーグ氏は「ロシアにはニカラグアに大規模な軍を駐留させる余裕はないが、中南米における軍事的影響力を米欧に示すために、プーチン政権が小規模な部隊をニカラグアに送り込む可能性はある」と分析する。

ロシアは歴史的に中南米の反米政権との関係を深めてきた。同国がクリミアを一方的に併合した2014年にはプーチン大統領がニカラグアを訪問し、オルテガ氏と会談した。今年2月のウクライナ侵攻の直前にはボリソフ副首相がニカラグアとベネズエラを訪れ、両国大統領と面会して協力関係を確認した。

米政府はロシアに接近するニカラグアに圧力を強める。オルテガ氏が21年の大統領選で対抗馬を拘束したことを問題視し、ニカラグアへの制裁を強化した。バイデン米政権は6月に主催した米州首脳会議にもニカラグアを招待しなかった。ニカラグアは米政府の圧力に反発しロシアと関係を深めている。

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