「低所得から抜けたい」 SNSで繫がる個人投資家
個人が揺らす市場(1)
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米バイデン政権による1.9兆ドル(約200兆円)の新型コロナウイルス経済対策で、1人最大1400ドルの給付金が出た3月。米西部オレゴン州に住む22歳の「ドライブ・ドライブ・ゴスリング」は受け取った全額を株式投資に、半額はゲームストップ株に投じるつもりだ。ネット掲示板レディットにハンドルネームで「ここで諦めたら負け。壮大なチキンゲームが続いている」と書き込み連帯を訴えた。
ホームレス支援団体で働く「ゴスリング」を駆り立てるのは焦燥感と成功体験だ。親は50歳を過ぎても低・中所得者層から抜け出せなかった。「同じ道をたどりたくない」との思いは強い。これまでも株式投資はしてきたが、2020年に短期取引主体に切り替えた。
「株高のおかげで医療費を払えた」「ゲームストップ株で学生ローンを完済した」――。レディット上には成功談が並ぶ。約2カ月前、経営不振でファンドが空売りしていた米ゲーム専門店ゲームストップ株に、SNS(交流サイト)で連携した個人が買い向かい株価が暴騰した。個人投資家の間では「共闘買い」の高揚感が残る。
スマートフォン証券ロビンフッドの口座数は1300万を超え、ドイツ銀行の米個人投資家調査で、25~34歳は給付金の約半分で株式投資すると回答。投資熱は高まる。
格差が固定化することへの恐怖とエスタブリッシュメント(支配階級)に対する不満がSNSで増幅