Microsoft、Nvidiaに人気ゲーム「10年供給」 任天堂も

【コロンバス(オハイオ州)=佐藤浩実】米マイクロソフトは21日、米エヌビディアのクラウドゲームサービスに人気ソフトを10年にわたって供給すると発表した。「Xbox」の主力ゲームを、エヌビディアの「GeForce NOW」で遊べるようにする。供給先を広げることで、マイクロソフトが目指す巨額買収への規制当局の警戒を和らげる狙いがある。
米アクティビジョン・ブリザードに対する8兆円規模の買収が成立した場合、「コール・オブ・デューティ」などの人気ゲームをエヌビディアのサービスでも遊べるようにする。利用者は購入したゲームソフトを、スマートフォンや処理能力の低いパソコンで扱いやすくなる。
エヌビディアは声明で「ゲーマーの選択肢を増やす提携だ」と述べ、マイクロソフトのアクティビジョン買収が不利な競争をもたらす懸念が「払拭された」と指摘した。「買収が規制当局の承認を得られるように全面的にサポートする」と明言した。

マイクロソフトは任天堂やパソコン向けゲーム配信基盤「Steam(スチーム)」の運営会社とも類似の提携を進めてきた。ブラッド・スミス社長は21日、任天堂との提携について「10年間の法的合意を結んだ」と明かし、「コール・オブ・デューティ」はXboxと同時に、同内容で任天堂のゲーム機にも配信すると説明した。
マイクロソフトは2022年1月に687億ドル(当時のレートで約8兆円)で、ゲーム大手のアクティビジョンを買収すると発表した。その後、競争が阻害されるとして米連邦取引委員会(FTC)が阻止を求める訴訟を起こし、英当局もユーザーが不利益を被る可能性を指摘している。
エヌビディアや任天堂といった同業他社との提携を通じて買収の支持者を増やすことで、「競争阻害」という当局の指摘を成り立ちにくくするのがマイクロソフトの狙いだ。同社はソニーグループにも提携を持ちかけたものの、ソニーGは一貫して買収への反対姿勢を示している。
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