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米、軍事演習制限案を提示へ 近くロシアに書面回答

NATOの東方拡大方針は固持

【ワシントン=中村亮】バイデン米政権はロシアが提示した欧州の安全保障体制構想に対して近く書面回答する。焦点である北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大停止に反対し、代わりに軍事演習を制限する案を提示する見通しだ。ロシアがウクライナ侵攻の準備を進めているとみて、米欧はウクライナへの軍事支援も急ぐ。

ブリンケン米国務長官は21日、スイス・ジュネーブでロシアのラブロフ外相と会談した。ブリンケン氏は会談後の記者会見で「安保に関してお互いの懸念のいくつかに対処する素地がある」と語り、粘り強く協議を続ける方針を示した。米国が欧州の安保構想に回答した後、米ロ外相は再び会談する予定だ。

安保構想をめぐり、ブリンケン氏はNATOの東方拡大を停止すべきだとするロシアの主張を受け入れないと改めて明言した。米政権はウクライナなどがNATOへすぐに加盟する可能性は低いと公言するが、その可能性をゼロとすれば主権国家の外交政策を縛ることになると訴えている。

米国は核兵器を自国の外に配備しないとの条項も受け入れない方針だ。NATO加盟国の多くが米国の「核の傘」に入っており、核兵器の撤去に応じればNATOの存在意義を揺るがす。米欧は東欧からNATO軍を撤退させる要求にも応じない考えで一致している。

代わりに米国は欧州各国とロシアの国境付近での軍事演習に加え、地上配備型中距離ミサイルの配備を制限する案を伝える見込みだ。米国が10日にロシアとの2国間協議で示していた。過去にロシアが主張した内容を含んでいるが、ロシアは自国の安保構想に及ばないとして拒否する構えとみられる。

米国の提案には欧州にも異論がある。東欧の外交当局者は軍事演習の制限案に関して「本当に悪いものだ」と批判する。米国から事前説明はなく制限案はサプライズだったという。バイデン政権は欧州との協調を重視している。同当局者は「米政権はコンサルテーションの達人だが、その中身はもっと改善して欲しい」と不満を漏らす。

米政権は対話が続く間もロシア軍がウクライナ国境周辺で部隊増強を続けていると警戒を緩めていない。ブリンケン氏は「(ロシアの)プーチン大統領が決めれば南と東、北からウクライナを攻撃する能力を持つ」と主張した。

ロシア軍は隣国ベラルーシに部隊を送っており、軍事演習を実施する予定だ。ウクライナの首都キエフはベラルーシ国境に近く、米国は軍事演習がウクライナ侵攻に向けた準備の可能性があると指摘している。ロシアはウクライナ侵攻の意図はないと繰り返し主張している。

米欧はウクライナ侵攻のリスクが高まっているとみて、同国の支援を加速する。複数の米メディアによると、米政権はバルト3国がウクライナに対して米国製兵器を提供することを認めた。ウクライナの自衛力を迅速に高める狙いがある。米国もウクライナと契約済みの武器の提供を可能な限り前倒しする。

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