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メキシコ、首都近郊の新空港が開業 投資効果に疑問の声

【メキシコシティ=清水孝輔】メキシコの首都メキシコシティ近郊で21日、新空港が開業した。メキシコのロペスオブラドール大統領は前政権が着手した空港の建設計画を破棄し、自身が主導して別の場所に新空港をつくった。現政権が目玉政策として進めるインフラ開発の第1弾だが、投資効果を疑問視する声もあがっている。

「反対派の抵抗にもかかわらず、計画を実現できた」。ロペスオブラドール氏は新空港「フェリペ・アンヘレス国際空港」で開いた記者会見に出席し、こう述べた。プロジェクトに批判的なツイートや記事を取り上げながら、一つ一つ反論して新空港の利点を訴えた。

新空港はメキシコシティに隣接するメキシコ州に建設した。国内線は格安航空会社(LCC)のボラリスやメキシコ航空大手のアエロメヒコなど3社が就航した。国際線は現時点ではベネズエラのコンビアサ航空による同国の首都カラカス便のみだが、メキシコ政府は米デルタ航空などと交渉し米国便の誘致もめざしている。

新空港の課題は都市部からのアクセスだ。メキシコシティの中心部から新空港へは車で最短45分程度、渋滞していればその数倍の時間がかかる。最短で20分以内に到着する既存のメキシコシティの空港と比べると利便性は劣る。政府は航空会社に新空港への移行を促したい考えだが、思惑通りに進むかは不透明だ。

新空港はロペスオブラドール政権の肝煎り政策だ。ロペスオブラドール氏は18年、ペニャニエト前政権がメキシコ州の別の場所に着工していた空港の建設を中止すると表明した。すでに一部の工事は進んでいたが、建設費が高すぎるとして計画を覆し、その代替案として今回の新空港建設を決めた。

ロペスオブラドール氏は当初、新空港を800億ペソ(約4700億円)以下で完成させるとしていた。その後建設費が膨らみ、メキシコの最大野党である国民行動党(PAN)は実際には1000億ペソ近くにのぼると指摘する。前政権の空港計画を中止した費用を加えると、投資総額は変わらないという批判もある。

新空港は大統領が主導するインフラ開発プロジェクトの第1弾だ。ほかにもカンクンを起点とした観光鉄道「トレン・マヤ」を建設するほか、タバスコ州にメキシコ国内で7つ目となる製油所を建設している。トレン・マヤの建設費も当初の1400億ペソから21年10月時点で600億ペソ増え、費用対効果を疑問視する声があがっている。

経済紙フィナンシエロの世論調査によると、ロペスオブラドール氏の支持率は2月に54%と就任以来最悪となった。同氏の長男のぜいたくな暮らしぶりと資金源の不透明さが大々的に報じられ、反汚職と質素な暮らしで低所得者層の支持を集めた現政権に逆風が吹いている。

メキシコでは4月に大統領の信任投票を実施する予定だ。6月には6つの州で州知事選を予定している。ロペスオブラドール氏がインフラ投資を通じて実績づくりを急ぐ背景には、支持率が低下する中で政権運営を安定させたいという思惑もある。

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