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金融への気候リスク「開示・影響分析を」 米当局提言

【ニューヨーク=斉藤雄太】米国の金融規制当局を束ねる米金融安定監視評議会(FSOC)は21日、気候変動が金融システムに及ぼすリスクと当局の対応方針をまとめた初の報告書を公表した。当局や金融機関などに対し、気候変動リスクを正しく把握するためのデータの整備や情報開示の充実を求めた。金融市場の安定や金融機関の財務の健全性などへの影響を探る「シナリオ分析」の重要性も訴えた。

FSOCの議長を務めるイエレン財務長官は同日、「気候変動は既に様々な経済的な被害を引き起こしており、関連する金融リスクに対処しなければ被害はさらに拡大する」と指摘。今回の報告書が「気候変動の脅威に対処するための重要な一歩になる」と強調した。

報告書では、2020年に米国で異常気象がもたらす災害が多発し、計950億ドル(約11兆円)の損害が生じたと説明。人命や財産に直接被害が及ぶ「物理的リスク」の高まりを指摘した。バイデン政権が温暖化ガスの排出量を30年までに05年比で半減させる目標を掲げるなか、産業構造が大きく変わることで一部業種などに負担が生じる「移行リスク」も今後膨らむ公算が大きい。

気候変動の影響で保険料や信用コストが上昇すれば、経済的な弱者にしわ寄せが及びやすくなる可能性にも触れ、バランスのとれた政策対応の必要性を訴えた。

具体的な提言としては、まず気候変動リスクを正確に評価するためのデータの確保を挙げた。必要なデータを特定し、当局間などでデータの収集や共有を進めやすくする環境整備を求めた。企業や金融機関などには温暖化ガスの排出量といった気候関連の情報開示の充実を求め、当局への報告義務を強化することも検討する。

気候変動が金融機関の財務の健全性などにどのような影響を及ぼすか、一定の仮定を置いて測定するシナリオ分析を各当局が実施することも求めた。各国中銀や監督当局で構成する国際組織「気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(NGFS)」などの作ったシナリオを活用することを想定している。気候変動リスクに特化した追加的な規制や指針の必要性も検証すべきだとした。

FSOCには米財務省や米連邦準備理事会(FRB)、米証券取引委員会(SEC)など主要な規制・監督当局関係者が参加する。今回の報告書はバイデン政権が5月の大統領令で、気候変動リスクを巡る金融分野の対応を報告するよう指示したのを受けてとりまとめた。バイデン大統領は10月末から英国で開催する第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に出席予定で、これに先立ち公表した。

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