気候変動サミット開幕へ 首脳40人参加、削減目標を議論

【ワシントン=鳳山太成】米政府は21日、気候変動に関する22日からの首脳会議(サミット)に日本や中国、ロシアなど世界各国・地域の首脳40人が参加すると発表した。温暖化ガス排出の削減目標を上積みするよう求めるほか、脱炭素をめぐる国際協調も呼びかける。
23日までオンラインで計5つの会合を開く。22日午前8時(日本時間同日午後9時)からの主要国首脳が参加する会合では、バイデン米大統領がまず演説する。温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に基づき、米国の2030年の排出削減目標を表明する。

米国をふくめ各国の首脳26人が参加し、それぞれ排出削減目標や気候変動対策を説明する。日本の菅義偉首相や中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席のほか、インドのモディ首相、ロシアのプーチン大統領らが参加する。ドイツ、フランスに加え、英国やオーストラリアの首脳も顔をそろえる。
22日の2つ目の会合では、途上国の気候変動対策を後押しする官民投資を話し合う。ニュージーランドやジャマイカの首相、国際通貨基金(IMF)や世界銀行のトップ、民間金融機関の最高経営責任者(CEO)らが意見を交わす。
22日の3つ目の会合は、4つの分科会に分かれて気候変動で影響を受けやすい弱者対策などを協議する。自治体の環境対策に関する議論には日本から小池百合子・東京都知事が出席する。安全保障の観点から気候変動を考える討議にはオースティン米国防長官や日本の岸信夫防衛相が参加する。
2日目の23日の討議は午前8時から始まり、残り2つの会合を開く。脱炭素を実現する技術革新をテーマにした議論は、デンマークやイスラエル、シンガポールなど6カ国の首脳が出席する。最後は気候変動対策を経済成長や雇用創出につなげる方策を巡り、ナイジェリアやベトナムなど新興国の首脳が意見を交わす。
2日間の会合には、ローマ教皇フランシスコ(法王)、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏らも登壇する。
バイデン氏は一連の会合を通し、脱炭素を巡る議論を主導したい考え。米国が野心的な温暖化ガスの排出削減目標を示したうえで、中国など主要排出国にも高い目標を掲げるよう迫る。11月に英国で開かれる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向けて、脱炭素を巡る国際協調の機運を生み出せるかが焦点となる。
各国とも脱炭素には前向きだが、規制強化で経済成長を抑えられることへの警戒感も強い。今回のサミットは、風力や太陽光など再生エネルギーへの投資や、CCS(二酸化炭素の回収・貯留)など新技術の活用により、雇用創出や経済成長につながるとの国際世論を醸成する狙いもある。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)

温暖化ガス排出を実質ゼロにするカーボンゼロ。EVや再生可能エネルギー、蓄電池、各国政策などの最新ニュースのほか、連載企画やデータ解説を提供します。