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チリ、次期財務相に中銀総裁 金融市場が信頼

【サンパウロ=宮本英威】南米チリのボリッチ次期大統領は21日、3月に発足する政権の閣僚を発表した。財務相には中央銀行のマリオ・マルセル総裁を起用した。左派のボリッチ氏は、鉱山会社や富裕層への増税を訴えて大統領選に勝利し、経済界には警戒する声が目立つ。市場経済を重視したこれまでの政府当局での勤務経験が豊富なマルセル氏の指名で、一定の安心感が広がっている。

マルセル氏は英ケンブリッジ大で修士号を取得し、世界銀行や経済協力開発機構(OECD)での勤務経験を持つ。2016年12月から中銀総裁を務めている。新型コロナウイルス禍からの経済回復で加速するインフレに対応するため、中銀は4会合連続で利上げを実施してきた。

米シティグループは、マルセル氏について「チリのマクロ経済の枠組みを支えてきた高い信頼性がある。非常に良いニュースだ」と指摘した。

元学生運動家で35歳のボリッチ次期大統領は、大統領選で格差是正を訴えて勝利した。富裕層や鉱山会社への増税で社会保障の充実を図る考えを示す。チリは長年、市場経済と自由貿易を重視して経済発展を遂げていただけに、経済界には投資環境や財政状況の悪化を心配する声が多い。

マルセル氏はラゴス政権(2000~06年)下では、財務省の予算局長を務めていた。ブラジル金融大手イタウグループは今後も「財政規律を重視した政策が期待できる」との見方を示す。

一方で、経済政策の先行きには不透明な面も残る。鉱業相にはマルセラ・エルナンド下院議員を起用した。鉱業が活発な北部アントファガスタの元市長で、鉱山の開発には持続可能性を重視しており、規制が強まる可能性がある。

自由貿易協定(FTA)を担当する外相には、人権派の弁護士であるアントニア・ウレホラ氏を起用した。批准が済んでいない環太平洋経済連携協定(TPP)へのスタンスは明確になっていない。

ボリッチ氏は大統領選の序盤ではTPPの批准に慎重な立場を示していた。決選投票に進出した以降は、FTAへの言及は目立たず、極端な主張は控えるようになっている。

次期政権の閣僚24ポストのうち14人の女性を起用しており、30代や40代と若い閣僚も多い。ボリッチ氏は21日、「この政権では選挙戦で訴えた改革の基礎を築く」と述べた。

外国為替市場でチリの通貨ペソは21年後半、ボリッチ氏の当選見通しが強まると下落基調を強めた。当選が決まった21年12月には1ドル=870ペソ台まで下がった。その後はボリッチ氏による「改革は段階的」との見方が強まると、年明け以降は上昇しており、21日には790ペソ台で取引されている。

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