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話し言葉でプログラミング Microsoft、ノーコード進化

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コードを書かずにプログラミングをする技術を開発した

【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトは25日、人が話す言葉でプログラミングをできるようにすると発表した。AI(人工知能)で機械がわかる言語に「翻訳」し、コーディングの知識が乏しくてもアプリケーションソフトを作れるようにする。IT(情報技術)人材の拡大につながり、企業のデジタル活用にも弾みがつく。

「Power Apps(パワーアップス)」と呼ぶ業務用アプリの開発ソフトに、文章を判断してプログラミング言語に置き換える機能を付ける。例えば「サブスクリプションの期限が切れた顧客を表示する」と英文で入力すると「Filter('Customers', 'Subscription' = "Expired")」などの候補を表示する。採用すれば、アプリに反映される。

人間の言葉をAIでプログラミング言語に変換する仕組み

6月から北米で試験公開し、2022年半ばまでに日本など他の地域でも英語版を利用できるようにする。日本語など英語以外の言語への対応も順次進める。当面はパワーアップスでのアプリ開発に使う「Power Fx」と呼ぶプログラミング言語に変換する。

人間並みの文章書くAI「GPT-3」で実現

提携先の米オープンAIが開発した言語AI「GPT-3」を活用することで、人が日常的に使う言葉を理解してコンピューター向けの言語に変換できるようにした。マイクロソフトのコーポレート副社長、チャールズ・ラマナ氏は「過去にも多数のAIを試したがうまくいかなかった。GPT-3によって実現できた」と言う。GPT-3は人間のような自然な文章を書くAIとして知られる。

マイクロソフトは近年、最小限のコーディングで業務用アプリやウェブサイトを作る「ノーコード/ローコード」と呼ぶ分野への投資を強化してきた。同社の関連サービスの利用者は月1700万人にのぼり、日本でも20年に神戸市が新型コロナウイルス対策の特別定額給付金の申請確認アプリの開発に利用した。

GPT-3を活用した「翻訳」機能の導入で、アプリ開発ソフトの利用者のすそ野を広げられると見ている。複雑なアプリも作りやすくなる見通しだ。開発したアプリを「Teams(チームズ)」と連携させる仕組みを整備し、チームズやクラウド基盤「Azure(アジュール)」の利用拡大につなげる狙いもある。

IT人材不足、ノーコードを後押し

ノーコード/ローコードへの関心は世界的に高まっている。米ガートナーによれば、パワーアップスのようなアプリ開発ソフトの市場規模は20年に前年比3割拡大。21年はさらに3割増えて60億ドル(約6500億円)に迫る見通しだ。マイクロソフトやセールスフォース・ドットコムといった米IT大手のほか、日本のサイボウズなどが関連サービスを手掛ける。

小売りや製造業など様々な業界でデジタル技術を生かした事業変革の機運が強まる一方、本格的なコーディングができる人材は限られることが背景にある。例えば経済産業省は、日本だけで30年までにIT人材が45万人足りなくなると試算している。

「数十億人」がソフト開発者に
マイクロソフトで「ノーコード/ローコード」事業を率いるコーポレート副社長のチャールズ・ラマナ氏に聞いた。

――人の言葉をプログラミング言語に変える新技術を導入するのはなぜですか。

マイクロソフトでノーコード/ローコード事業を率いるラマナ氏
「ソフトウエア開発の民主化を進めるためだ。わずかなプロラミングでアプリを作れる『ローコード』の製品をそろえてきたが、AI(人工知能)の力で『ノーコード』にしたかった。プロのソフト開発者は世界で2500万〜3000万人なのに対し、ローコードならば扱える人は数億人に増える。ノーコードを実現すれば、世界の何十億人もの人がソフト開発者になれる」

――研究者の間で注目度が高い言語AI「GPT-3」を活用しています。

「過去にも多くの自然言語モデル(AI)を試したが、製品として世に出せる水準には至らなかった。『GPT-3』のおかげで技術面で新たな扉が開いた。ただ、AIの提案を採用するかどうかは人が責任を持って決める設計にした。2~3種類の候補を挙げて利用者に選んでもらうことで(AIの)モデルの改良も進めていく」

――将来はコーディングが不要になるのでしょうか。ソフト開発の未来は。

「AIはソフト開発者の仕事を代替するのではなく、すそ野を広げる。ノーコード/ローコードの普及とともに、プロの開発者と事業担当者の『フュージョン・チーム(融合チーム)』が増えるだろう。異なる経歴とスキルを持つ人たちがリアルタイムで共同作業し、業務に必要なソフトを素早く開発できるようになる」

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