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株価と金利、力学に変化(NY特急便)

米州総局 後藤達也

ダウ平均は続伸し、19日の急落分を帳消しにした=ロイター

株価と長期金利の力学に変化が起こっている。年明け以降は金利が上がれば株価が下がるといった逆の動きをしていたが、最近は同じ方向に動くようになってきた。米国株は低金利に依存した金融相場から、景気や企業収益に左右される業績相場へと移行しつつある。

2021年4~6月期の決算発表が本格化してきた。コカ・コーラが21日発表した4~6月の売上高は新型コロナウイルス流行前の19年4~6月期を上回った。経済再開により、外食や屋外向けの需要が急回復しており、21年の年間収益見通しも引き上げた。ジェームズ・クインシー最高経営責任者(CEO)は「消費者の日常生活の多くがかつての姿に戻ってきている」と手応えを示した。

同じく21日に決算発表したジョンソン・エンド・ジョンソンはがん治療薬や医療機器のほか、化粧品といった個人消費関連の商品も収益を押し上げた。ベライゾン・コミュニケーションズも1株利益が市場予想を上回った。3社とも決算発表後に株価は上昇し、株式市場全体の雰囲気を明るくした。

「悪いニュースはいいニュース」。数カ月前まで市場ではこうしたフレーズがしばしば使われた。悪い経済指標が発表されれば、経済対策や金融緩和継続の期待からかえって株価には追い風になるという意味だ。ところが最近は「いいニュースはいいニュース」という素直な捉え方に転じつつある。

その変化を映すのが長期金利と株価の関係だ。2~3月には長期金利が急上昇し、IT(情報技術)株が急落する場面があった。5~6月は長期金利の低下が株価を支え、史上最高値の更新につながってきた。ところが最近は「金利上昇と株高」「金利低下と株安」が同時に起こる日が増えている。19日には金利急低下とともに株価が急落。20~21日は金利上昇と株高が同時に起きた。

市場の関心は政府の経済対策や金融政策よりも、景気や企業業績といった実体経済に向かっている。4~6月期の決算発表や経営者のコメントは普段以上に市場全体の雰囲気を左右しやすくなっている。

市場では「株式は適度なバリューエーション(評価)のなかで収益見通しがよくなっており、投資妙味は引き続き高い」(ブラックロックのウェイ・リー氏)といった見立てが中心的だ。19日にはダウ工業株30種平均が725ドル安と9カ月ぶりの下落幅を記録したが、押し目買いの勢いも強く、20~21日の上昇で19日の下落分を埋め合わせた。

とはいえ、19日の急落のきっかけとなったコロナのインド型(デルタ型)の感染急増が収まる兆しは出ておらず、行動規制が再び強まる懸念は拭えていない。来週にはアップルなど大手IT(情報技術)企業の決算が相次ぐほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)も控えている。

シティグループのジョハナ・チュア氏は「今後数日から数週間の相場は全体的に不安定な動きになる可能性が高い」と指摘する。金融相場から業績相場へと移っているのであれば、決算が予想外に弱かったり、コロナの感染拡大が強まったりするようであれば、「悪いニュースは悪いニュース」となり、株価の調整をもたらすおそれがある。(ニューヨーク=後藤達也)

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