気候リスク、情報開示拡充を 投資拡大へ米財務長官

【ワシントン=大越匡洋】イエレン米財務長官は21日の講演で、温暖化ガス排出量の実質ゼロ(ネットゼロ)の実現に向けて、気候変動リスクに関する企業の情報開示を拡充していくことが重要だと訴えた。「投資家が気候関連のリスクと機会を正確に比較できる情報開示」を求め、各国と連携していく考えを強調した。
イエレン氏は国際金融協会(IIF)に向けた講演で、気候変動問題について「バイデン政権は政府全体で取り組む」と表明。長期に民間の投資を促すには情報開示の拡充がカギになるとの認識を示した。そのうえで気候リスクを適切に分析するための信頼性、業種を超えた共通の枠組みなど一貫性、国際間の比較可能性が重要だと語った。
主要国の金融当局で構成する金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の取り組みを評価し、米財務省も国内関連部門と連携して国際的な議論に参加していく方針を示した。低所得国の脱炭素に向けたインフラ投資を官民で支援していく考えにも言及した。