米国、ウクライナ防空強化へ2400億円 パトリオットなど

【ワシントン=坂口幸裕】米政府は21日、ロシアが侵攻を続けるウクライナに対する総額18.5億ドル(2400億円)規模に相当する追加の軍事支援を発表した。長距離の地対空ミサイル「パトリオット」を初めて供与する。発電所などの重要インフラを標的にするロシアのミサイル攻撃に対抗できるように防空体制を強化する。
ブリンケン米国務長官は21日の声明で「バイデン大統領はロシアによる残忍な攻撃からウクライナを守るため、重要な軍事能力を新たに提供する。防空能力と精密打撃能力を拡充する」と強調。将来的なロシアとの停戦協議を念頭に「時が来れば交渉で最も強い立場に立てるよう必要な限り支援を続ける」と記した。
パトリオットの提供はウクライナがかねて求めてきた。米軍の主力防空システムで、「これまで提供されてきた防空システムよりもはるかに高い高度で巡航ミサイル、短距離弾道ミサイル、航空機を迎撃できる」(ブリンケン氏)。超低高度から高高度の複数目標に同時で対処可能になる。1991年に湾岸戦争で使用された。
米国がパトリオットを供与したのは北大西洋条約機構(NATO)加盟国のほか、日本やイスラエルなど同盟国が目立つ。ウクライナ軍は第三国で訓練を受ける計画だ。ウクライナの自衛能力を高める狙いだが、ロシアの反発は必至だ。
米政府によると、バイデン政権が発足した2021年1月以降に決めた対ウクライナ軍事支援は総額219億ドルに達する。

アメリカの「バイデン政権」に関する最新ニュースを紹介します。その他、日米関係や米中対立、安全保障問題なども詳しく伝えます。