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米でワクチン特典競争 「1億円くじ」に接種促進効果も

(更新)

米国で新型コロナウイルスワクチンの接種率を高めようと「特典」を打ち出す動きが急増している。4月中旬以降、接種数の減少が鮮明となっているためだ。接種した人に1億円超が当たるくじを発表した中西部オハイオ州では接種人数が5割増となるなど一定の効果も出ている。

東部ニューヨーク州と同メリーランド州は接種の特典として現金が当たるくじを進呈する。ニューヨーク州は24~28日まで最大500万ドル(約5億4000万円)から20ドルまで当たる宝くじを提供する。

メリーランド州は25日から7月3日まで、毎日4万ドルが当たるくじを始める。7月4日にはさらに40万ドルの当選者も発表する。ホーガン知事は「(接種のために)もう一つ理由が必要なら、総額200万ドルが当たるチャンスがある」と呼びかけた。

くじの先駆けとなったのがオハイオ州だ。100万ドルか大学の奨学金が当たるくじの開始を発表した12日以降、接種者が急増した。13~18日は11万人以上が1回目の接種を受けた。これはくじ発表前の6~11日に比べて53%の増加となった。

東部ニュージャージー州では5月中に1回目を接種した人に、州内のワイナリーで無料ワイン1杯を進呈する。サッカーや野球の観戦チケット、州立公園や美術館のチケットなどをプレゼントするところも多い。

民間企業発の取り組みもある。バイデン政権は21日、出会い系マッチングアプリ各社が接種を促す新機能を導入すると発表した。接種した人は「接種済み」マークを追加できるほか、無料で特典を利用できる。あるマッチングアプリ会社によると、接種済みまたは予定がある人は、接種予定のない人よりも14%出会いのチャンスが多いという。

官民挙げて様々な特典を打ち出しているのは、米国内で接種ペースの鈍化が鮮明となっているためだ。米疾病対策センター(CDC)によると、23日の接種回数(7日移動平均)は約182万回と4月中旬のピークに比べて半減した。

米カイザー・ファミリー財団(KFF)の調査でも根強い「拒否層」が一定数いることが明らかになっている。4月の調査では「絶対に接種しない」と答えた人が13%に上った。昨年12月の調査と比べて2ポイントしか減らなかった。

一方で「様子見」の人は減少傾向にある。4月の調査では15%と、昨年12月に比べて24ポイント減った。カリフォルニア大が3~4月、ワクチン未接種者を対象に調査したところ、受け取る現金が多いほど接種の意向を持つ人が増えた。様々な特典は「様子見」の人を中心に接種を促す効果があるようだ。

ホワイトハウスの新型コロナ対策本部のアンディ・スラビット氏は「未接種者の多くは接種に反対なのではなく、多忙で接種を優先していないだけだ。こうしたプログラムは非常に効果がある」と話す。

CDCによると、23日時点で少なくとも1回目の接種をした人は12歳以上人口の58%に達した。接種を完了した人は46%を占める。現在はワクチン特典が注目されがちだが、米国ではこれまで接種を受けやすい環境づくりに注力してきた。

連邦政府と各州は連携し、野球場などに大規模な接種会場を設けたほか、身近な薬局などでも接種できるようにした。このため多くの人が自宅から5マイル(約8キロ)以内の場所で接種できるようになった。予約サイトの改善や、予約なしの接種の拡大、ワクチン接種を促すための戸別訪問など、今も取り組みは続いている。

(ニューヨーク=山内菜穂子、ワシントン=芦塚智子)

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