2月の米中古住宅価格、11年ぶり下落 販売件数は増加
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【ニューヨーク=佐藤璃子】全米不動産協会(NAR)が21日発表した2月の中古住宅販売価格(中央値)は36万3000ドル(約4800万円)で前年同月比0.2%下落し、11年ぶりに前年を下回った。販売件数(季節調整済み、年率換算)は1年1カ月ぶりに前月比プラスとなった。住宅ローン金利の上昇鈍化や価格の下落が需要回復を支えた。
販売件数は458万戸と前月比14.5%増加し、2020年7月以来の伸び率となった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(420万戸)も大幅に上回った。前年同月比では22.6%減った。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「住宅ローン金利の低下を利用して購入する人が増えた」と指摘する。15日発表の米抵当銀行協会(MBA)の調査によると、30年固定の住宅ローン金利(週平均)は足元で6.71%となった。ローン金利は22年10月に一時7.16%と01年以来の高水準を記録し、住宅需要の低迷を招いてきた。
一方で米銀の経営破綻に伴う金融システム不安の波及を不安視する声は強まっている。米PNCフィナンシャル・サービシズのエコノミストは「足元で起きている混乱を受けて銀行が融資基準を引き締めれば、住宅市場と米経済はさらに軟化する。2月に需要が回復したとはいえ、ローン金利の変動や景気後退懸念により23年いっぱいは住宅市場の低迷が続くとみられる」との見方を示した。