エルサルバドル、「ビットコイン都市」建設を表明

【米州総局=清水孝輔】中米エルサルバドルのブケレ大統領は20日、戦略都市「ビットコインシティー」を建設する計画を明らかにした。2022年に10億ドル(約1140億円)分の暗号資産(仮想通貨)ビットコインに裏付けられた10年債を発行し、建設費をまかなう方針だ。消費税以外の税金を免除し、企業の投資を呼びかける。
ブケレ氏はエルサルバドル東部ラ・ウニオンにビットコインシティーを作る方針だ。空港や居住スペース、商業施設などを建設する。ビットコインのデザインを模した商業施設が上空から見えるようにする計画だという。10年債で調達する10億ドルの半分はビットコインの購入に充てる。その後も新たな債券を発行していく方針だ。
現在の1ビットコインの価格は約660万円。ビットコインシティーのプロジェクトに協力するカナダのブロックストリーム社は5年以内に1ビットコインの価格が約1億円になると推定している。エルサルバドルは10年債で調達する資金で購入するビットコインを長期的に売却し、配当の原資にしたい考えだ。
ブケレ氏は消費税以外の税金を免除する方針だ。徴収する消費税は半分を国債の発行、半分をゴミの回収の費用などに充てる。ブケレ氏は公共投資には30万ビットコイン(約2兆円)程度がかかると想定している。エルサルバドルの火山を利用した地熱発電を開発し、環境都市としても訴求したい考えだ。
エルサルバドルは9月にビットコインを法定通貨に採用した。多くの人が金融システムにアクセスできるようにして米国で働く親族からの送金を促している。ただ直後から政府が設けた電子財布(ウォレット)やATMでシステム関連の不備が発生した。ビットコインの導入を巡っては反政府デモなど国民からの反発も起きている。
ブケレ氏は国民からの高い支持を背景に自らビットコインの導入を決めた。だが最近は強権姿勢に対して批判が高まっている。ブケレ氏は5月には最高裁判事と検事総長を更迭。最高裁は9月に大統領の連続再選を禁じた過去の判断を覆し、連続再選を可能とする判断を下した。