バイデン大統領、初の拒否権 年金「ESG考慮禁止」決議

【ニューヨーク=竹内弘文】バイデン米大統領は20日、企業年金運用でESG(環境・社会・企業統治)を考慮した投資判断を禁じる決議案について拒否権を行使した。2021年1月のバイデン政権発足以降、上下両院で可決した法案や決議案への拒否権行使は初めて。政権としてESG投資を推進する姿勢を改めて示した。
バイデン氏は拒否権行使にあたり声明を出し「ESGが市場、産業、ビジネスに重大な影響を及ぼすことを示す証拠は豊富にある」と記した。年金運用のリターン最大化とESG重視は両立すると説明し、決議案を提案した野党・共和党を批判した。
決議案は、企業年金の運用者がESGの要素を取り入れて投資対象を選別したり議決権を行使したりできると定めた米労働省の規則を議会として「承認しない」という内容だった。共和党が多数派の下院で通過した後、与党・民主党が多数派を握る上院でも1日、民主党のジョー・マンチン議員らが賛成に回って可決していた。