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核兵器禁止条約、50カ国・地域で発効 保有国は不参加

(更新)
核兵器の開発・使用を全面禁止する核兵器禁止条約が22日、50カ国で発効した(ニューヨークの国連本部)

【ニューヨーク=白岩ひおな、吉田圭織】核兵器の保有や使用を全面禁止する核兵器禁止条約(TPNW)が22日、オーストリアなど批准50カ国・地域で発効した。米英仏中ロなど核保有国は条約に参加していない。参加国は条約発効が核保有国への圧力につながる効果を期待する。

国連のグテレス事務総長は22日の声明で「核兵器なき世界への重要な一歩だ」と発効を歓迎した。「核兵器の危険性は増大しており、世界は核兵器を確実に廃絶し、使用による人間や環境への壊滅的な影響を防ぐために早急に行動しなければならない」と訴えた。

条約は核兵器の保有や使用を全面禁止し、使用するという威嚇も禁じる内容だ。核兵器の実験や移転、配備の許可も禁止する。核実験や核兵器の使用で被害を受けた人への支援、影響を受けた環境の修復に向けた措置を取るよう求めている。

条約はオーストリアやメキシコなどが議論を主導し、2017年7月に国連で122カ国・地域の賛成で採択された。20年10月には批准国・地域が発効に必要な50に達し、90日後の発効が決まっていた。

条約はすでに86カ国・地域が署名し、51カ国・地域が批准した。参加国はいずれも核の開発や保有に関わっていない非核保有国のみだ。核軍縮をめぐっては、核兵器のさらなる拡散の防止をめざす核拡散防止条約(NPT)など核保有国が参加する多国間枠組みもある。

核兵器禁止条約は核兵器の全面禁止などにまで踏み込んだ。核保有国が「NPTの枠組みを弱体化させる」などと強い反発を示し、非核保有国との隔たりがいっそう浮き彫りになっている。

発効が決まる直前には、米国が批准の撤回や再検討を呼びかける書簡を各国に送っていたことも明らかになった。

オバマ政権下で核不拡散・軍備管理担当の国務省特別顧問を務めた米ブルッキングス研究所シニアフェローのロバート・アインホーン氏は「核保有国は国際安全保障に基づいた段階的なアプローチで軍縮を進めるのが最善だと認識している」と指摘する。

ロシア外務省のザハロワ情報局長は21日「条約は核兵器削減に貢献できず、誤りだ」と批判し、改めて不参加を表明した。

日本や韓国など米国の「核の傘」に頼る国も条約に参加していない。日本政府は核兵器の廃絶という目標には共感を示すが、条約への参加には慎重だ。

北朝鮮の核開発や中国の軍備増強など、日本を取り巻く環境が厳しさを増すなか、米国の「核の傘」による抑止力の維持・強化が現実的だとの立場だ。

ストックホルム国際平和研究所によると、20年1月時点で世界の核弾頭数1万3400発のうちロシアが6375発、米国が5800発と、2カ国で9割超を保有する。中国は320発で、19年から30発増えた。北朝鮮も公式な数は不明だが30~40発を保有していると推計する。

8月には核保有国を含むNPTの再検討会議を控える。条約発効による核廃絶に向けた国際的な機運の高まりをテコに、条約締結国は核保有国に核軍縮に向けた行動を取るよう圧力をかける可能性が高い。

ストックホルム国際平和研のトゥッティ・エラシテ上席研究員は「核保有国や米国の核の傘に入っている国々は、核兵器に頼る安全保障政策の正当化が難しくなるだろう」と指摘する。

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