米大統領、憎悪犯罪法に署名 アジア系への暴力増で
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【ワシントン=芦塚智子】バイデン米大統領は20日、人種差別や偏見に基づくヘイトクライム(憎悪犯罪)への対策強化を定めた「新型コロナウイルス憎悪犯罪法案」に署名し、同法が成立した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って急増したアジア系住民への暴力行為や嫌がらせの防止を目指す。
バイデン氏は署名を前に、憎悪犯罪は警察当局の予算や訓練の不足に加え、言葉や文化の壁が原因で過少報告されていると指摘。同法の成立がこうした問題の改善につながるとの期待を示した。「沈黙は共犯だ。声を上げ、行動しなくてはならない」とも述べ、差別や偏見に立ち向かうよう呼び掛けた。
同法は、司法省に犯罪がヘイトクライムに該当するかどうかの検証作業を迅速に進めるための担当官を置き、州や自治体の警察当局による憎悪犯罪対策を支援することを定めている。オンラインで多様な言語による憎悪犯罪の報告ができるシステムの構築や、啓発活動の拡大といった対策を促進する。
同法案は上下両院が共和党議員も含めた圧倒的多数の賛成で可決していた。

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