米大統領報道官「ドル高、米経済の強さ反映」 円安受け

【ワシントン=高見浩輔】ジャンピエール米大統領報道官は20日、記者団から円安や日本の為替介入について聞かれ「ドル高は米経済の強い立場を反映している」と述べた。円は同日、約32年ぶりに1ドル=150円台まで下落したが、利上げに伴うドル高を容認する従来通りの主張を繰り返した。
「大統領の経済政策は引き続き、米経済の強力な成長と米国への投資のために位置づけられている」と話した。新型コロナウイルス禍からの景気回復で強い労働市場が維持されているため、インフレに対して他国よりも急ピッチの利上げが可能である点を示唆した。「主要な市場関係者、パートナー、同盟国と緊密に連絡を取り合っている」とも付け加えた。
ドル高を巡っては、ドル建て債務の返済負担増に苦しむ途上国への影響を懸念する声があり、米国内でも輸出企業の競争力低下などが指摘されている。輸入品は9割以上がドル建てのため、輸入物価を通じた米国内のインフレの引き下げ効果も大きくはないと米連邦準備理事会(FRB)が分析している。
それでもドル高の原因はあくまでFRBによる急ピッチの利上げで他国と金利差が開いたことにあり、是正すべき対象ではないというのがバイデン米政権の基本姿勢だ。バイデン政権は11月の中間選挙を控えてインフレ抑制を最大の課題だと位置づけ、FRBの利上げを支持してきた。
イエレン米財務長官は14日の記者会見で「市場で決定される為替レートがドルにとって最良の体制であり、それを支持する」と語った。バイデン大統領は15日に「ドルの強さについて懸念していない」と述べ、ドル高を容認する姿勢を示した。