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台湾有事、緻密かつ率直な議論を 

日米共同声明を聞く(3)米ランド研究所 ジェフリー・ホーナン研究員

米ランド研究所のジェフリー・ホーナン研究員

日米の共同声明を踏まえ、両政府は台湾有事に備えた議論を始めることになるだろう。基盤になるのは2015年に成立した安全保障関連法だ。

米国は集団的自衛権の行使が可能な「存立危機事態」、後方支援の提供にとどまる「重要影響事態」など法的な枠組みは理解している。同じ台湾侵攻でも日本に攻撃が及ぶケースや、そうではない場合も想定される。

日米はこうした具体的な事例に基づき、何をお互いに望むのかについて緻密かつ率直に意見を交わす必要がある。

バイデン政権は世界的な米軍の体制見直しを進めており、在日米軍も当然対象となる。

検証の結果、米国がかねて検討してきた地上配備型の中距離ミサイルの配備受け入れを日本に求めることになっても私は驚かない。韓国、フィリピンなどこの地域の同盟国のなかで、日本がもっとも米国と対中国政策を巡る考え方が近いためだ。

共同声明に入った「日本の防衛力の強化」に関して検討が進むだろう。日本を狙う相手の拠点をたたく敵基地攻撃能力の保有や、敵の射程圏外から発射できる「スタンド・オフ・ミサイル」の増強が想定される。

戦闘を継続する態勢をとるために日本の軍事施設の防御力を高める努力も不可欠といえる。例えばレーダー、滑走路や弾薬の貯蔵庫といった施設の復元力を強化する方策を忘れてはいけない。

新疆ウイグル自治区の人権問題では、日本は米欧の対中制裁に加わっていない。日本は制裁を国の行動を変えるために効果的な手法とは必ずしもみていないと理解している。日本は別のどんな手段で人権侵害に対抗していくのかが課題になる。

気候変動の日米協力では、米国内の政治状況を踏まえた視点も考慮する必要がある。

バイデン政権は50年の温暖化ガス排出の実質ゼロ目標の達成に向けたロードマップや行動計画でリスクを抱える。あまり早い段階で具体的に示しすぎると、それによって打撃を受ける特定の産業をはじめ米国内から多くの反対を招く可能性がある。

22年秋には中間選挙を控える。政権にとっては石炭産業などを抱えるラストベルト(さびた工業地帯)の労働者層も大事だ。(気候変動問題に積極的な)民主党内の急進左派の存在も見過ごせない。政治的な打撃を最小限にするため、慎重に戦略を練るだろう。

共同声明でうたった半導体のサプライチェーン(供給網)の再構築や高速通信規格「5G」での日米協力は米国内の支持を得やすいテーマとみる。米国にとって雇用拡大を含めたビジネスチャンスにつながるためだ。

(聞き手はワシントン=永沢毅)

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