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米政権、対巨大IT強硬姿勢変わらず Facebook再提訴

(更新)
政権が交代しても米IT大手への逆風がやむ気配はない(米カリフォルニア州メンロパーク市のフェイスブック本社)

バイデン米政権が米巨大IT(情報技術)企業への締め付けを強めている。米連邦取引委員会(FTC)が19日、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでフェイスブックを再提訴した。トランプ前政権のIT大手に対する強硬姿勢を受け継ぐ姿勢が鮮明となり、長期の法廷闘争に発展する可能性が高まっている。

「革新的な新興企業に対抗できず、違法に買収したり葬り去ったりした」。FTCのホリー・ベドバ競争局長代理は19日の声明でフェイスブックを厳しく批判した。同日、首都ワシントンの連邦地裁に訴状を再提出し、画像共有アプリ「インスタグラム」の運営部門などの売却を改めて求めた。

FTCがフェイスブックを提訴したのはトランプ前政権末期の2020年12月のことだ。同社が個人向けSNS(交流サイト)市場を独占しており、インスタグラムや対話アプリ「ワッツアップ」の買収は違法だと主張した。だが、連邦地裁は独占を示す証拠が不十分だと判断し、今年6月に訴状を棄却していた。

バイデン大統領はFTC委員長に米アマゾン・ドット・コムの分割を主張してきたリナ・カーン氏を起用するなど、IT大手への包囲網を狭めてきた。フェイスブックは自社の調査からカーン氏を外すことを求めていたがFTCは拒否し、同氏を含む5人の委員の投票で訴状の再提出を決定。バイデン政権にとってIT大手に対する初の法的措置となる。

新たな訴状は20年12月の内容を原則として踏襲する一方、同社の独占を示すデータや事実の説明を大幅に増やした。まず、個人向けSNSについて「友人や家族などとのつながりを保ち、経験を共有するためのオンラインサービス」と改めて説明し、不特定多数への発信を主体とするツイッターやTikTok(ティックトック)などを対象から除外した。

市場の範囲を明確にしたうえで、月間利用者や利用時間などが独占を示す指標になると主張した。米調査会社コムスコアのデータを引用し、12年以降の米国における月間利用者のシェアは65%超、利用時間でも80%を上回っていると指摘。従来の「米国の個人向けSNS市場で60%超のシェアを握る」との主張から踏み込んだ。

また、18年に発覚した英調査会社ケンブリッジ・アナリティカがフェイスブックの利用者情報を不正に利用した事件などを挙げ、「利用者の間で不満が高まっても、利用者数や利用時間が減っていない」と指摘している。代替サービスが存在しないことを示し、フェイスブックの市場支配力の高さを訴える狙いだ。

新たな訴状について、FTCのウィリアム・コバシック元委員長は「フェイスブックが独占的な支配力を持つという追加の根拠を示し、最善のカードを切ることができた」とみる。米スタンフォード大学のダグラス・メラメド教授も「従来の訴状より説得力がある」との見方を示した。

一方、フェイスブックは強く反発している。広報担当者は19日の声明で「FTCが根拠のない訴訟の継続を望んで残念だ」と述べ、過去にさかのぼってM&A(合併・買収)を阻止する行為が横行すれば企業活動が成り立たなくなると訴えた。同社は再び訴状の棄却を求める可能性が高い。

専門家の間には公判に進むとの見方が多いものの、FTCの思惑通りに進むかは予断を許さない。FTCは月間利用者などを独占の証拠としてあげたが、米フロリダ大のマーク・ジェイミソン教授は「利用者は複数のSNSを利用しており、利用者数でシェアを測るのは適切ではない」と指摘している。

また、10年近く前のM&Aを対象とすることを疑問視する向きもある。米司法省反トラスト局出身のジョン・ニューマン米マイアミ大教授は「担当判事は(FTCが訴状で指摘した)違法行為が現在も続いているとの見方に懐疑的だ」とみる。仮に評決が出ても最高裁まで進む可能性が高く、訴訟の長期化は避けられないとの見方が強まっている。

(シリコンバレー=奥平和行、ワシントン=鳳山太成)

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