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ペルー、カスティジョ氏が大統領に 国有化路線など焦点

家族とともに取材に応じるカスティジョ氏㊥(6月、北部チュグル)=ロイター

【ニューヨーク=外山尚之】ペルーの選挙管理当局は19日、6月に実施した大統領選で急進左派のペドロ・カスティジョ氏の当選を発表した。カスティジョ氏は同日、勝利を宣言し、「政府は誰一人として置いていかない」として平等な社会の実現を約束した。一方、政治経験が乏しいカスティジョ氏の手腕は未知数で、政策の具体化が喫緊の課題となる。

選挙は6月6日に実施し、カスティジョ氏と、フジモリ元大統領の長女のケイコ・フジモリ氏が競う構図となった。カスティジョ氏が過半数を確保したものの差はわずかで、フジモリ氏が「不正」を訴えて当局が結果確定作業を進めていた。フジモリ氏も19日、結果を認めた。カスティジョ氏は28日に就任、任期は5年となる。

選挙から1カ月以上かかってようやく結果が確定したものの、次期大統領の具体的な政策はまだ見えない。

カスティジョ氏は選挙戦で天然資源やインフラの国営化、コメや小麦など農作物の輸入禁止など急進左派的な政策を掲げていたが、経済や企業経営環境の悪化への懸念から6月に通貨ソルが暴落した。ペルーは世界有数の銅産出国で、国際市況への影響も大きい。通貨暴落を受け、同氏は国有化や輸入制限を実施しないと発表するなど、穏健的な経済政策への転換を示唆している。

もっとも、円滑に転換できるかは未知数だ。元教師で労働組合活動家のカスティジョ氏は大統領選まで全国的には無名の存在だったことに加え、所属する左派政党「ペルー・リブレ」の党首で、マルクス主義を信奉するブラディミール・セロン氏が大きな影響力を持っている。

同党が掲げる、締結済みの自由貿易協定(FTA)の見直しといった公約はセロン氏の肝煎りだ。政治アナリストのロドルフォ・ロハス氏は「カスティジョ氏が穏健路線へ修正する必要が出てきても、セロン氏がより急進的な方向へ押しやるだろう」と予測する。既に組閣などを巡ってカスティジョ氏とセロン氏の不仲説も浮上している。

そもそもペルー・リブレは少数政党が乱立する議会で第1党ながら過半数を取っておらず、国有化のような大胆な政策は難しいとの見方もある。現地に進出する日本企業幹部は「当面は様子見だ」としている。

足元で通貨ソルは対ドルで過去最安値圏で推移しており、輸入物価の上昇でインフレ率は上昇が続く。カスティジョ氏自身がカリスマ的な人気を誇っているわけではなく、経済運営でつまずけば早期に希望が失望に変わる可能性がある。

新型コロナウイルスのワクチンの接種の遅れも問題だ。カスティジョ氏の政策顧問は中国との関係強化でワクチンを確保するとしているが、米国との関係にも気を配る必要があり、難しいかじ取りを迫られている。

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