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米中協議、安保・人権で隔たり鮮明 次回開催メド立たず

ブリンケン米国務長官(左)は人権や安全保障などの懸念を伝えたと明らかにした=ロイター

【ワシントン=永沢毅、北京=羽田野主】米国と中国の外交担当トップによる初の直接会談で、人権や安全保障の双方の主張は平行線をたどった。気候変動など一部では接点を探る動きもあったが隔たりは鮮明で、次回協議のメドすら立っていない。

「私たちには根本的に相いれない分野がたくさんある。それらを取り上げると、予想通り中国からの反論があった」。ブリンケン米国務長官は2日間の協議後、記者団に説明した。具体的にあげたのは台湾への威嚇や新疆ウイグル、香港、チベットの人権問題だ。

いずれも中国にとって一歩も譲れない「核心的利益」にあたる。中国の楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員は激しく反論した。

焦点は台湾問題だ。中国外務省によると、楊氏は協議で「いかなる妥協の余地もない」と強調した。米国の台湾への武器売却や米政府関係者の台湾訪問を直ちにやめるよう求めた。「中国の限界線を突破しようと試すのはやめよ」と訴えた。

中国側の発表では「米国は(中国大陸と台湾は一つの国とする)『一つの中国』の原則を重ねて表明した」と指摘した。米国は習近平(シー・ジンピン)指導部が台湾に武力侵攻する事態を警戒し、台湾海峡に艦船を派遣するなどしてけん制している。ブリンケン氏もこうした立場を伝えたとみられる。

人権問題でも中国は譲らなかった。ブリンケン氏は少数民族ウイグル族への弾圧をジェノサイド(民族大量虐殺)とみなす。中国側は「今世紀最大のウソ」と断じた。香港問題では楊氏は「選挙制度をいかによくするかは中国の内政だ」と主張し、制度変更の尊重と米制裁の撤回を求めた。

ブリンケン氏は協議で、トランプ前政権があまり取り上げなかったチベットにも触れた。米国では20年12月、中国がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の後継者選定に介入したら制裁を検討するチベット人権法が成立した。中国側は「ダライ・ラマ14世は長く反中分裂活動に従事する政治亡命者だ」と伝えた。

唯一合意したのは気候変動問題を巡る作業部会の設置だ。4月下旬にはバイデン大統領が温暖化ガス主要排出国の首脳会合を主催する予定で、中国は作業部会を対話継続の呼び水と位置づける。

米国との協議を終えた中国の楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員(左から2番目)=AP

米中は貿易やハイテク分野も議論した。20年9月に米国が通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への半導体禁輸措置を厳格化した後「最先端の半導体は調達できなくなった」(中国政府関係者)。東大の松田康博教授は「中国は半導体の輸出規制の解除を最も望んでいるはずだが、米中双方の発表文に言及はなく前進はなかったようだ」とみる。

協議に同席したサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は対中政策の立案に向けて「同盟国、友好国と協議を続ける」と語った。日本が重視する沖縄県・尖閣諸島周辺への領海侵入も取り上げたとみられ、協議内容を日本に伝える。

初日の18日は冒頭発言が1時間超に及び、報道陣を前に双方が非難し合う異例の展開をみせた。バイデン氏は19日、ホワイトハウスで記者団に「国務長官をとても誇りに思う」とブリンケン氏の初日の対応を評価した。

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