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カナダ、温暖化ガス削減目標引き上げ 30年に36%削減

カナダのトルドー首相は「新型コロナとの戦いを終わらせ、雇用創出を通じて中間層を支援する」と述べた=ロイター

【ニューヨーク=白岩ひおな】カナダ政府は19日、2030年までの温暖化ガス排出量を05年比で36%削減する新たな目標を発表した。従来目標の30%から引き上げた。環境に配慮した事業に資金の使い道を限ったグリーンボンド(環境債)を初めて発行する計画も明らかにした。22年3月までの今会計年度中に国債総発行額の約2%にあたる50億カナダドル(約4千億円)の環境債を発行する。

同日発表した新型コロナウイルス対策や景気刺激策に今会計年度から3年間で1014億カナダドルを投じる予算案のうち、176億カナダドルを環境関連投資にあてる。トルドー首相は「気候変動に対処する計画を加速させ、産業をクリーンにする技術に投資し、良質な雇用を創出する」と述べた。

環境債の導入のほか、二酸化炭素(CO2)の回収・利用・貯蔵や水素製造を手がける企業への税額控除や環境に配慮した技術への投資を盛り込む。電気自動車メーカーなどの投資・誘致に向けた基金には50億カナダドルを上乗せする。

カナダは50年に温暖化ガス排出量を差し引きゼロにする目標を掲げている。ただ、世界有数の石油産出国のカナダでは排出削減目標が地域の石油産業を脅かすとの懸念が強く、これまで気候変動に関する公約を達成できていない。22日のバイデン米大統領が主催する気候変動サミットを控え、温暖化対策への意欲を国際社会にアピールする狙いとみられる。

予算案にはヨットや個人所有の航空機、自動車などのぜいたく品に課す新たな税も盛り込んだ。予算案の可決後、22年1月に施行する。新たな税の導入で連邦政府の収入は今会計年度からの5年間で6億400万カナダドル増加する見込みだ。富裕層への課税強化を通じて財源を確保する。前会計年度の連邦政府の赤字は3542億カナダドルの見込みで、21~22会計年度は1547億カナダドルに減少すると予測している。

300億カナダドルを投じ、カナダの各州と協力して全国規模の保育システムを構築する計画を盛り込んだ。賃金や家賃の補助を含む新型コロナ対策の延長と、企業が労働者を再び雇用するためのプログラムの予算も計上した。連邦政府の最低賃金を時給15カナダドルとする方針も公表した。インフレ率に応じて引き上げるほか、州や準州の最低賃金が高い場合にはその賃金を優先する規定を設けた法案を提出する。

新たな予算案は、年内にも想定されるカナダ総選挙にらみとの見方もある。カナダ政治を研究するマギル大学のダニエル・ベランド教授は「トルドー政権はこの予算を次の選挙公約の重要な材料として利用する可能性が高い」と指摘する。野党・保守党のエリン・オトゥール党首は記者会見で「選挙目的の予算であり、コロナ禍でカナダ経済の安全を確保するにはほとんど役立たない」と非難した。

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