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米独禁当局、Amazonにも敗訴 一審は訴え棄却

【シリコンバレー=白石武志】米ネット通販最大手アマゾン・ドット・コムが外部出品者の価格を違法に制限したとして米首都ワシントンの司法長官が2021年に起こした訴訟で、裁判所が原告側の訴えを棄却したことが19日までに明らかになった。米独禁当局は裁判を通じて米巨大IT(情報技術)の寡占に歯止めをかけようと懸命だが、これまでは当局側に不利な判決が続いている。

一審に当たる首都ワシントン(コロンビア特別区)の上級裁判所は18日に双方の当事者の意見を聞く口頭弁論を開き、原告側の訴えを棄却するよう求めていたアマゾン側の申し立てを認める判断を示した。審理内容などを記録した文書は19日時点で開示されておらず、棄却理由は明らかになっていない。

今回の訴訟は連邦法ではなくワシントンの法律に基づいて起こされていた。ワシントンのラシーン司法長官側は米メディアに送付した声明の中で「地元の裁判所で理にかなった反トラストの法理を発展させるために戦い続ける」と述べ、控訴する意向を示した。アマゾン側のコメントは得られていない。

原告側が問題視したのはアマゾンが外部の出品者に対し他社の電子商取引(EC)サイトで提供している価格と同水準もしくは低く設定するよう求める契約だ。国家間の貿易ルールに例えて「最恵国待遇条項」とも呼ばれる。米国以外の地域でも独禁当局から長年問題視され、アマゾンは欧州や日本などで関連する条項を段階的に撤廃してきた。

アマゾンは米国でも19年までに関連条項を削除したとしているが、ワシントンの司法長官側は訴状のなかで実質的に同じ内容の規約に差し替えただけだと指摘。新たな規約に違反した場合には出品者をアマゾンのECサイトから完全に排除する条件も盛り込んでいたと主張していた。

アマゾンの広報担当者は訴訟提起直後の声明で「販売者は我々のストアで提供する商品の価格を自ら設定している」と反論。原告側の訴状は「全く逆のことを言っている」として、裁判所に訴えを退けるよう申し立てていた。

米独禁当局はネット広告や通販などの分野で寡占を強める米巨大ITとの法廷闘争を積極的にしかけている。米司法省が20年10月に11の州司法長官らと連名でグーグルを相手取った訴訟を起こしたのを手始めに、同12月には米連邦取引委員会(FTC)などがフェイスブック(現メタ)に対する訴えを起こした。

FTCがフェイスブックを訴えた訴訟では原告側が独占の根拠を十分に示していないとして、首都ワシントンの連邦地裁は訴状を修正して再提出するよう命じた。ニューヨーク州など48の州・地域の司法長官らがフェイスブックを相手取って同時に起こした訴訟については、訴えそのものを棄却した。

FTCは同地裁に訴状を再提出し、48州・地域の司法長官らはワシントンの連邦控訴裁(高裁)に上訴するなどそれぞれの係争は続いている。独禁当局と同じく巨大ITへの監視を強める米議会では、現行の反トラスト法(独占禁止法)の枠組みがデジタル時代に十分に対応できていないとの指摘も出ている。

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