バイナンス、仮想通貨融資ボイジャーの資産取得
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【ニューヨーク=竹内弘文】暗号資産(仮想通貨)交換業最大手バイナンスが仮想通貨融資サービスを手掛ける米ボイジャー・デジタルの資産を取得することが19日、明らかになった。金額は約10億2200万ドル(約1400億円)で、バイナンスの米国法人「バイナンス・ドット・US」を通じて取得する。
ボイジャーが19日発表し、バイナンスのチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)もツイッターへの投稿で認めた。ボイジャーは、融資先の仮想通貨ヘッジファンド、スリー・アローズ・キャピタルの破綻に連鎖して経営が行き詰まり、7月に日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請した。
債務弁済の資金回収に向けて保有する仮想通貨の入札を実施し、いったんは交換業大手FTXトレーディングの米国法人が約14億2200万ドルで落札した。だがFTXはその後、投資会社との間で不透明な資金のやりとりが判明して11月に経営破綻した。
FTX米国法人によるボイジャー資産の取得も立ち消えになり、代わりにバイナンス・ドット・USが落札した。破産裁判所が2023年1月に資産売却を承認することが条件となる。バイナンス・ドット・USが取得する資産には、スリー・アローズへの請求権は含まれない。
FTXの破綻後には仮想通貨融資ブロックファイが連鎖破綻した。投資家が交換所などに仮想通貨を預けるのを不安がり資産を引き出す動きも出てきた。円滑な破綻処理の進行は、仮想通貨業界でくすぶる信用不安に一定の歯止めをかける効果もありそうだ。