/

Netflix、創業者ヘイスティングス氏がCEO退任 会長に

(更新)

【シリコンバレー=佐藤浩実】米ネットフリックスは19日、創業者のリード・ヘイスティングス氏が共同最高経営責任者(CEO)を退き、会長に就任したと発表した。最高執行責任者(COO)だったグレッグ・ピーターズ氏が新たな共同CEOに就いた。動画配信サービスが成熟期を迎えるなかで、次世代にバトンを引き継ぐ。

ヘイスティングス氏は1997年にネットフリックスを共同創業し、DVDのレンタル事業を経て、インターネットを通じた動画の配信サービスを始めた。テレビ放送が全盛だった時代にネットの潜在力に目を付け、毎月一定の金額を払えばいつでも好みの番組を見られる動画配信ビジネスを開拓した。

もともとは1人でCEOを務めていたが、数年前から「並走型」で後継者を育ててきた。2020年7月にはコンテンツの責任者だったテッド・サランドス氏との共同CEO体制に移行した。独自作品の製作を推進してきたサランドス氏の昇格は、ハリウッドを中心とするエンターテインメント業界でのネットフリックスの存在感を一段と高めた。

ピーターズ氏は直近で、22年11月に始めた広告付きプランの導入を率いた。日本に駐在していた時期もあり、新規事業となるゲーム部門も統括している。ピーターズ氏は19日のビデオ会見で「大きな戦略転換はない」としつつ、「ダイナミックな業界の動きに対応し、適切な変化を起こす」と述べた。

ヘイスティングス氏は19日付のブログで、新型コロナウイルス下の急拡大とその後の停滞について「炎の洗礼だった」と振り返った。同氏が2人に経営者の仕事の多くを任せ始めた時期と重なっていた。作品の拡充や広告導入など会社を再び成長軌道に乗せるために「とてもよくやってくれた」とし、「引き継ぎを完了するのにふさわしい時期だ」と述べた。

会長への就任について「創業者がCEOのバトンを他の人に渡した後によくやる役割だ」との認識を示した。米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス氏や米マイクロソフトのビル・ゲイツ氏のCEO引退後のような位置付けになるもようだ。

ネットフリックスの経営体制の変更は、エンタメ産業で後継者問題が大きな話題になっているタイミングで起きた。動画配信で競合する米ウォルト・ディズニーは長らくCEOを務めたボブ・アイガー氏の後継育成の失敗が一因となり、株価の低迷を招いた。アクティビスト(物言う株主)からの批判を相次いで受け、22年11月にはアイガー氏が急きょ復帰している。

動画配信サービスはコロナ下での急拡大を経て、成熟期を迎えつつある。ネットフリックスが19日に発表した22年10~12月期決算は売上高が前年同期比2%増の78億5205万ドル(約1兆円)で、02年の上場後で最も低い伸び率だった。会員数は2四半期続けてプラスを保ったものの、多くのサービスがしのぎを削るなかで利用者は移ろいやすくなっている。

ニューズレター

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません