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次期駐日米大使、日本の防衛費増「不可欠」 議会公聴会

日韓関係に懸念、中朝に共同対処を

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【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領が次期駐日大使に指名した元大統領首席補佐官のラーム・エマニュエル氏(61)は20日、上院外交委員会の公聴会で所信を表明した。「私たちの同盟は共通の利益と価値観を促進する。最優先事項は共通の課題に立ち向かい、この関係を深めていくことだ」と述べた。

公聴会では「60年以上にわたり米国と日本のパートナーシップは自由で開かれたインド太平洋における平和と繁栄の礎だった」と強調した。「米国が直面する課題に向け最も親密な同盟国である日本との絆を深めなければならない」と語った。

中国については「分断による支配を目指している」と指摘し「この地域における米国の外交政策の重要な岐路に立っている。これから3年間でどう日本とのパートナーシップを築いていくかが今後30年間の米国を決定づける」と話した。「米国の戦略は団結による安全保障だ。この地域の結束は日米同盟の上に築かれている」と訴えた。

自民党は衆院選公約で、これまで国内総生産(GDP)比1%以内を目安としてきた防衛費を巡り「GDP比2%以上も念頭に増額を目指す」と書いた。

エマニュエル氏は防衛費の増額方針について「日本がより大きな役割を果たすとともに、より大きな脅威にさらされていることを映している」と指摘した。「それが日本の安全保障や我々の同盟に不可欠だ」と説いた。

日米韓が軍拡を続ける中国や北朝鮮に共同で対処する必要性を示した上で、戦後最悪と言われる日韓関係に懸念を表明した。元慰安婦問題などを念頭に「20世紀の課題に21世紀のチャンスを奪われてはならない。我々が一緒に作れるものを失ってはいけない」と主張し、未来志向の関係構築を促した。

エマニュエル氏は「中国とロシア、北朝鮮は米国、日本、韓国の同盟関係に亀裂を入れようとしている」と言明。「我々の仕事はひとつの声で結束の絆をつくることだ」と力説した。

日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」に関しては「(4カ国は)中国による戦略的、軍事的な脅威に直面している。地域における米国の経済、安全保障の利益の土台だ」と提唱した。

9月の指名後に公式の場でエマニュエル氏が証言するのは今回が初めて。正式決定には上院の承認が必要になる。サキ大統領報道官は19日の記者会見で、バイデン氏がエマニュエル氏を指名した理由について「議会やホワイトハウス、シカゴ市長という公職で実績がある人物だからだ」と説明した。

エマニュエル氏はクリントン政権の政策顧問、連邦議会下院議員を経て、オバマ氏が大統領に就任した2009年に政権運営の司令塔となる首席補佐官に起用された。当時バイデン氏は副大統領だった。11~19年にシカゴ市長を2期にわたり務めた。バイデン氏を含む歴代の民主党政権中枢との緊密な関係が強みになる。

バイデン政権が「唯一の競争相手」と位置づける中国への対処では日米間の緊密な調整が不可欠になる。駐日大使ポストは前大使のハガティ氏が上院選出馬のため19年7月に退任して以降は空席が続く。日本政府はエマニュエル氏が築いてきた大統領や側近らとの太いパイプに期待する。

シカゴ市長時代に起きた警察当局による黒人少年射殺事件へのエマニュエル氏の対応を問題視する声が与党・民主党にある。上院では民主、共和両党の議席数が拮抗しており、米紙ワシントン・ポストはエマニュエル氏が一部の共和党議員から支持を得ていることが「承認の決め手になるかもしれない」と報じた。

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