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ロシアのウクライナ再侵攻に現実味 米ロ、瀬戸際の交渉 

(更新)

【ワシントン=坂口幸裕、モスクワ=石川陽平】ロシアによるウクライナ侵攻が現実味を帯びてきた。バイデン米大統領は19日、ウクライナ国境周辺に軍部隊を展開するロシアが2014年に続き再侵攻するとの見方を示した。米ロが21日に開く外相会談で軍事的緊張を緩和する糸口を見いだせるのか瀬戸際の交渉になる。

「私の推測では彼は侵攻するだろう」。バイデン氏はホワイトハウスで開いた記者会見でプーチン大統領が再侵攻に踏み切ると予測した。

ウクライナに侵攻すれば「ロシア経済に厳しい代償を与える準備ができている」と改めて警告。「例えば、銀行はドルを扱うことができなくなる」と言及し、ロシアの銀行によるドル取引を停止する措置を検討していると明かした。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、バイデン政権は最近、14年にロシアがウクライナ領クリミア半島を併合した際に実施した米欧による制裁の効果を検証した。当時は小規模の銀行や個人などを制裁の対象とし、ロシアが撤退せざるを得ないほど打撃を与えることはできなかったと結論づけた。

その後のロシアの行動を見ても制裁は抑止につながっていない。同紙は現在用意している制裁は「世界的な金融取引に依存するロシア最大の金融機関が対象になる」と報じた。主要産業にかかわる輸出規制などのほか、安全保障面では中東欧を想定した北大西洋条約機構(NATO)軍の態勢拡充やウクライナへの防衛支援の強化も視野に入れる。

ブリンケン米国務長官は20日ドイツでベーアボック独外相と会い、21日に控えるロシアのラブロフ外相との会談前に制裁内容をすり合わせる。独ロを結ぶ新たなガスパイプライン「ノルドストリーム2」の稼働停止が議題になる見通しだ。ロシア経済を支えるエネルギー輸出を止めれば同国に打撃となる。

ロシアの威嚇を止められるかは見通せない。ロシアは緊張を和らげる条件として21年12月に示した欧州の新たな安全保障体制に関する提案の受け入れを迫る。

バイデン氏はNATOがウクライナに戦略兵器を配備しない保証について「何かできるかもしれない」と強調。近い将来、ウクライナがNATOに加盟する可能性も否定した。いずれもロシアに歩み寄る姿勢を示す一方、ロシアがこだわるNATOの東方拡大停止の確約は拒んだ。

米欧はロシア軍がウクライナ国境付近に10万人規模の部隊を展開しているとみる。ロシアが侵攻の口実をでっち上げる偽装工作を計画し、隣国ベラルーシで2月に予定する軍事演習は侵攻への布石だと分析。「いつ攻撃を始めてもおかしくない」(サキ米大統領報道官)と警戒する。

ロシアが米国を試す狙いもにじむ。「対中国シフト」で欧州への軍部隊の増派を避けたい米国の本音を見透かす。バイデン氏が21年12月にウクライナに米軍を駐留させる可能性を問われ「それはテーブルの上にない」と明言したのは「唯一の競争相手」と定める中国への抑止力を高めるのが最優先課題になっているからだ。

米国防総省は21年11月に世界に展開する米軍の人員や戦力の態勢見直しを完了したと発表した。ロシアがウクライナに侵攻すれば米軍配置の再検討が必要になる可能性がある。対中国への対処に影響が出れば、日本の安全保障にも波及しかねない。

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