ブラジル北部、酸素ボンベ不足の死亡相次ぐ 新型コロナ

【サンパウロ=外山尚之】新型コロナウイルスの感染拡大が進むブラジル北部で、医療機器の不足が深刻化している。地元メディア、グロボ(電子版)によると、北部アマゾナス州コアリで、治療に用いる酸素ボンベが不足し、19日までに7人が死亡した。同地域は医療体制が貧弱で、今後も被害が拡大する恐れがある。
同じ北部のパラ州でも同様の事態が発生し、7人が死亡した。日本企業が数多く進出するアマゾナス州の州都マナウスでも医療機器の不足による医療崩壊が始まっており、医師などがSNS(交流サイト)を使って支援を求めている。
アマゾン熱帯雨林を擁するブラジル北部は現在、新型コロナの感染再拡大が進んでおり、新たな変異種も見つかっている。こうした状況下、医療崩壊を受け患者を域外に移送しているが、追いついていない。陸路の交通網が十分に発達しておらず、物資や人員の輸送に空路を使わざるを得ないことも支障となっている。
今回の医療崩壊は連邦政府の準備不足も指摘される。ボルソナロ大統領は「我々はできることをやっている」と主張するが、州の要請にもかかわらず酸素ボンベの供給が十分でないと指摘されており、新型コロナを軽視する同氏の姿勢が今回の事態を引き起こしたとの批判もある。