メキシコでブリの知名度を向上 ジェトロが輸出促進支援

【メキシコシティ=宮本英威】日本貿易振興機構(ジェトロ)は、メキシコへのブリの輸出促進支援を始めた。2月半ばから3月半ばにかけて、日本料理店でブリ料理を無料で提供して、消費者への知名度向上を後押しする。新型コロナウイルスの影響で日本国内の需要が落ち込む中、新たな輸出先を開拓する。
メキシコではブリは知られていない。首都メキシコシティやグアダラハラ(ハリスコ州)など5都市の計19の日本食レストランに鹿児島産の冷凍ブリを1店舗あたり15~45キロ提供。飲食店はそれぞれが独自の料理を考案し、アンケートを通じて好みなどの把握につなげる。

メキシコシティのKazu's Kitchenでは、ブリとアボカドを混ぜたセビチェ(海鮮マリネ)を考案した。経営者でシェフの九本和さん(73)は「常連客が多いので、新たな食材に挑戦したい」と参加を決めた。来店した会社員のジュレン・エステバンさん(32)は「ブリは知らなかったが、非常においしい。メニューに加わるようならぜひ注文したい」と話した。
日本政府は農林水産物の輸出拡大を狙う品目の一つとしてブリを掲げている。輸出額を2019年の229億円から25年には542億円に引き上げたい考えだ。輸出額の約7割は米国向けのため、米国からメキシコへの輸出を増やすことで全体の底上げにつなげる。
ジェトロによると、日本からメキシコへの直接輸出はほとんど実績がなく、米国からのメキシコへの輸出でも19年に92万ドル(約9700万円)にとどまっている。