米J&J、22年通期下方修正 ワクチン売上高の開示停止

【ニューヨーク=野村優子】米日用品・製薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は19日、2022年12月期の売上高が前期比4~5%増の948~958億ドル(約12兆2000億~12兆3500億円)になるとの見通しを発表した。従来予想から11億ドル下方修正した。インフレに伴うコスト高や供給制約などが響く。需要の低迷を受けて、新型コロナウイルスワクチンの売上高見通しの開示を取りやめた。
調整後の1株あたり利益(EPS)は、4~6%増の10.15~10.35ドル(従来予想は10.4~10.6ドル)を見込む。インフレに伴う原材料や輸送コスト、人件費などの高騰を反映した。
同日発表した22年1~3月期決算は、売上高が前年同期比5%増の234億ドル、純利益は17%減の51億ドルだった。部門別売上高では主力の「処方薬」でがん治療薬などが伸びて6%増、手術用医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」は6%増だった。一方、日用品や市販薬を含む「消費者向け」は2%減となった。解熱剤の「タイレノール」などが伸びた一方、化粧品では供給制約による原料不足などが響き、売り上げを押し下げた。
これまで公表していた新型コロナワクチンの売上高見通しの開示は取りやめた。ジョセフ・ウォーク最高財務責任者(CFO)は同日の投資家向け説明会で「世界的な供給過剰や発展途上国で接種をためらう動きが出ている影響で、ワクチン需要は厳しい状況にある。開示中止により、投資家は主力事業に焦点を当てることができる」と説明した。
J&Jは1月時点で、22年の新型コロナワクチンの売上高を30億~35億ドルと見込んでいた。1~3月期の売上高は4億5700万ドルと、21年10~12月期(16億1900万ドル)に比べて7割減となった。