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米最大のSPAC、ユニバーサル社への投資断念

【ニューヨーク=伴百江】米国の物言う投資家(アクティビスト)として著名なビル・アックマン氏率いる特別買収目的会社(SPAC)は19日、米大手音楽会社ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)への投資を断念したと発表した。合併を前提とする従来のSPACと比べて仕組みが複雑で、投資家からの支持を得られなかった。規制当局も投資家保護の観点で懸念を強めていた。

アックマン氏は2020年7月にSPAC「パーシング・スクエア・トンティーン・ホールディングス」を上場させた。40億ドル(約4400億円)を調達し、過去最大のSPACとなっていた。今年6月にはUMGへの投資計画を発表した。

計画はUMGの親会社である仏メディア大手ビベンディからUMGの株式10%を40億ドルで取得する内容だった。今年後半にビベンディがUMG株をオランダのアムステルダム市場に上場させる予定で、その際にアックマン氏のSPAC投資家は上場したUMG株を保有する計画だった。

アックマン氏は投資家に送った書簡で、投資の仕組みが複雑で投資家からの支持が得られず、米証券取引委員会(SEC)も仕組みに懸念を表明していたことを明らかにした。

アムステルダム市場に上場するUMG株は米投資家にとって外国株となる。そのため、一部の米投資家は証拠金取引の担保にしたり、コールオプション(買う権利)の取引をしたりできなくなるという。さらに、「ニューヨーク証券取引所のSPAC規定に違反する可能性をSECは懸念していた」としている。

大手SPAC投資家である米資産運用会社リバーノース・キャピタル・マネジメントはアックマン氏のSPACに投資していたが、「株価が上がりすぎたと判断し、UMGへの投資発表前に売却して利益を確保した」(パトリック・ギャリー最高経営責任者)という。

アックマン氏のSPACは2月中旬には34ドル台と、公募価格である20ドルを大きく上回っていた。投資先候補の見通しが不透明との懸念からその後は値下がりし、6月初旬にUMGへの投資を発表した後に下げに拍車がかかった。現在は20ドルをやや上回る水準で推移している。

アックマン氏はSPACの運用を見直し、今後18カ月かけて従来の合併手法で新たな投資先を探る。UMGの株式には、同氏が運用するヘッジファンドを通じて投資すると表明した。

SECは過熱気味のSPACへの監視を強めている。7月には、宇宙旅行ビジネスを手がけるモーメンタスと同社との合併を発表したSPAC運用会社を対象に、投資家へのリスク開示に誤りがあったとして提訴した。今後はアックマン氏が当初描いたような「複雑な仕組みをつくるのは難しくなる」(投資家のギャリー氏)とみられている。

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