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Netflix、会員2億人突破 10~12月の売上高2割増

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【シリコンバレー=佐藤浩実】米動画配信大手のネットフリックスが19日発表した2020年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比22%増の66億4444万ドル(約6900億円)となり過去最高を更新した。純利益は同8%減の5億4215万ドル。20年末時点の有料会員数は2億366万人に達し、配信事業を始めて約13年で2億人を突破した。

10~12月期はチェスを題材にしたドラマ「クイーンズ・ギャンビット」などが会員拡大に寄与した。同作品は配信から4週間で6200万世帯が視聴し、チェスブームを起こした。世界的な新型コロナウイルス感染の再拡大も、利用者の解約抑制につながったようだ。会員数は前の四半期と比べて851万人(4%)増えた。

ネットフリックスは広告のない動画配信サービスを手掛け、会員が毎月払う利用料が収益基盤となる。そのため、会員数の動向が成長力を測る指標になる。

20年通期の会員の純増数は3657万人で、19年(2783万人)や18年(2861万人)を上回った。コロナによる「巣ごもり」の影響で、とりわけ年前半の伸びが顕著だった。ネットフリックスの会員は17年7~9月期に1億人に達しており、そこから3年あまりで2倍に増えた格好だ。

背景にはコロナと米国外での事業拡大の重なりがある。12月末時点の地域別の会員数は米国・カナダ(UCAN)が7394万人(9月末比で86万人増)に対し、欧州・中東・アフリカ(EMEA)の会員は6670万人(同446万人増)、日本を含むアジアは2549万人(同199万人増)だった。12月には日本で制作したドラマ「今際(いまわ)の国のアリス」を配信するなど、アジア圏の作品を強化している。

特別項目を除くフリーキャッシュフロー(純現金収支)は10~12月期に2億8407万ドルの赤字だった。コロナで停滞していた制作活動の正常化に伴い、4四半期ぶりのマイナスとなった。21年は通年で「ほぼトントンになる」(同社)とみており、ネットフリックスは「日々の事業活動のための資金調達はもはや必要ない」と説明した。

ネットフリックスは2021年1~3月期について、売上高が24%増の71億2900万ドル、会員の純増数が600万人規模になると見ている。21年に70本の映画を公開し、新たな会員獲得につなげる狙いだ。米ウォルト・ディズニーなどとの競争については株主への手紙で「(会員数が8700万人に達した)『ディズニープラス』の初年度はすさまじく、一方で我々も過去最大の会員数の伸びを記録した」と指摘した。

一方で、1月には米国で人気コメディー番組「ジ・オフィス」の配信契約が終了した。コンテンツ投資に充てるために米国やカナダなどで20年秋から月1〜2ドルの値上げを実施しており、コロナの収束に伴って利用者が離れる懸念はある。

19日の決算発表に伴い、同社の株価は終値を10%超上回って推移している。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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