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米石炭火力、7年ぶり発電増加へ ガス高騰で稼働率改善

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【ヒューストン=花房良祐】米エネルギー情報局(EIA)は18日、2021年の米国の石炭火力の発電量が前年比プラス22%の約9441億キロワット時となり、14年以来の増加に転じる見通しを公表した。テキサスの寒波や欧州のガス価格高騰のために天然ガス価格が上昇したためで、相対的に石炭火力の競争力が高まった。

10月末からは英国で第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催され、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力の今後の方向性も焦点だ。米バイデン政権はパリ協定への復帰を決めるなどトランプ前政権に比べて温暖化対策への取り組みをアピールしているが、21年は石炭火力の発電量が増加するという逆の結果となりそうだ。

100万英国熱量単位(BTU)あたりでみると、米国内の発電向けの石炭は2ドル(約228円)強で安定して推移している。一方、発電用の天然ガスは20年に100万BTUあたり2~3ドルだったが、21年2月にはテキサスの寒波などで15ドル超を記録したほか、足元でも5~6ドルと高水準が続く。EIAによると、発電所向けのガス価格は通年でも前年の2倍以上になるという。

この結果、石炭火力の発電量に占めるシェアは21年に24%となり、20年(20%)から拡大するのに対し、ガスは21年に36%となり、20年(39%)から低下する。再生可能エネルギーは21年に20%となる見込みで前年と横ばいだ。

背景には、欧州のガス価格高騰を受け、米国のガス価格にも上昇圧力がかかっていることがある。輸出のために液化天然ガス(LNG)プラントはフル稼働状態なうえ、米国のガス指標価格は先物取引で買われている。供給面では、ハリケーンでシェールガスの生産設備が打撃を受けた。

もっとも、米国の石炭火力の発電容量はじりじりと低下している。米国で石炭火力発電所が新たに稼働したのは13年が最後。20年の米国の石炭火力の容量は2億キロワット強で、13年から3分の1も減った。21年も減少傾向は続く。

米国の石炭火力は地域によってある「容量市場」といった救済措置で生き残っているのが実情だ。例えば、北東部の電力市場「PJM」では数年おきに容量市場の入札が実施され、落札した発電所はいつでも稼働できる待機状態にしておくことで一定の収益を受け取れる。電力を売らなくても発電能力を維持することが可能になる仕組みだ。

こうした制度もあり、米国の石炭火力の稼働率は20年まで低下傾向を続け、同年に約40%と、13年の約60%から大きく低下した。一方、相対的に石炭火力の競争力が強まった21年の稼働率は50%強と前年から約10ポイントも上昇する見通しだ。

22年の石炭火力については、EIAは稼働率が微減の約50%、発電量が前年比5%減と予想している。発電所の廃止が続くうえ、ガスは価格が再び低下して競争力が増すとみているためだ。

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