Netflix会員減に歯止め インフレ、サブスク選別強く

【シリコンバレー=佐藤浩実】米動画配信サービス最大手、ネットフリックスの会員数が増加に転じた。7~9月期は前の四半期に比べて1%増え、2四半期続いた契約者離れに歯止めがかかった。インフレで消費者はサブスクリプション(継続課金型)サービスの選別を強め、契約と解約を繰り返す人が増えている。サブスクが今後も成長するかは不透明だ。

18日に発表した9月末の会員数は2億2309万人と、6月末と比べて241万人増えた。143万人増加したアジア・太平洋地域が全体をけん引した。北米でも10万人増えた。
サブスクサービスの足かせはインフレだ。消費者は節約志向を強めており、動画配信などへの支出に慎重になっている。
米調査会社のアンテナによると、米国の動画配信サービスの契約者は4~6月期に前年同期比21%増えた。拡大は続いているものの、新型コロナウイルス禍で3割前後伸びていた2020年からは鈍化している。
米ウォルト・ディズニーも4~6月期に動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」の会員数が1440万人増えたが、北米に限ると10万人の増加にとどまる。
競争も厳しくなっている。アンテナの6月の調査によれば、米国の主要な動画サービスの利用者の2割が2年以内に3回以上解約した。20年初は5%だったが、サービスの増加に加え、節約志向も強まり、消費者が少しでもお値打ちなプランを選ぼうと解約と新規契約を繰り返している状況が透けて見える。
ネットフリックスはインフレなどに対応し、11月から欧米日などで低価格プランを導入する。動画に広告を流す代わりに現在の料金の最安値と比べて2~4割安くする。消費者の負担を少なくして契約を増やし、広告料で収益を底上げする。
コロナ下で市場が急拡大したサブスクはサービスが乱立している。人気コンテンツの獲得など投資競争も過熱している。インフレ下の競争が引き金となって生き残りに向けた業界再編が進む可能性がある。
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