ウォルマート赤字2200億円 11~1月、日英の事業売却で - 日本経済新聞
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ウォルマート赤字2200億円 11~1月、日英の事業売却で

(更新)

【ニューヨーク=白岩ひおな】米小売り最大手ウォルマートが18日発表した2020年11~21年1月期決算は、最終損益が20億9100万ドル(約2210億円)の赤字に転落した。前年同期は41億4100万ドルの黒字だった。日本や英国事業の売却に伴う関連費用の計上などが響いた。一方、ネット通販の利用拡大などを背景に売上高は7.3%増の1521億ドルとなった。事前予想の1483億ドルを上回り、四半期として過去最高となった。

ネット通販の売上高は69%増えた。個人消費のピークとなる年末商戦でオンライン消費の需要が引き続き伸びたが、伸び率は新型コロナウイルスの感染拡大以来最も低い水準だった。比較可能な既存店売上高は8.6%増えた。

傘下の英スーパー3位アズダの売却に伴い、英国における固定資産税の減免分の返還費用を計上した。日本事業では20年11月に保有する大半の西友株を米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と楽天に売却すると発表した。売却は21年2~4月期に完了する見込みで、売却損や関連費用を盛り込んだ。新型コロナの感染拡大関連費用は11億ドルに上った。事業売却による影響などを除いた調整後の1株当たり利益は1.39ドルで、市場予想の1.51ドルを下回った。

21年1月期通期の売上高は6.8%増の5552億ドルで、通期の売上高としても過去最高を記録した。純利益は9.2%減の135億ドルだった。配当を1株当たり55セントに引き上げたほか、200億ドルの自社株買いプログラムを承認した。

時給15ドルに引き上げ

ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は同日、従業員のうち42万5000人を対象に平均時給を15ドル超に引き上げる方針を明らかにした。「最前線で働く従業員を支援する」とした。対象者の時給は勤務内容などに応じて13~19ドルの範囲で上昇する。現在は11ドルの最低賃金を支払っており、今回の決定で米国内で働く時給労働者の平均賃金は15.25ドルを超えるという。

20年10月には全従業員の約1割にあたる16万5千人の時給を引き上げた。バイデン政権がめざす連邦最低賃金15ドルへの引き上げについては「重要な目標だが、米国経済にとって良いペースで進めていくべきだ」と述べるにとどめた。

22年1月期、経済正常化で収益減へ

ウォルマートは22年1月期の売上高、営業利益、1株当たり利益はいずれも減少するとの見通しを示した。予想される事業売却の影響や、新型コロナのワクチン普及による経済の正常化を理由としてあげた。売却の影響を除くと、売上高は一桁台前半の伸びを見込み、営業利益は横ばいからわずかに増加するとした。決算発表後の時間外取引でウォルマートの株価は5%下落した。

22年1月期の設備投資額は前期(100億7100万ドル)と比べ40%増の約140億ドルを見込む。流通網の自動化など生産性向上につなげる。マクミロン氏は「20年に加速した小売りの変化は継続する。強力な成長に向け、積極的に投資すべき時だ」と述べた。

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