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米、対ロシア最前線に武器売却加速 米欧結束へ布石

【ワシントン=中村亮、モスクワ=桑本太】バイデン米政権はウクライナやジョージアへの武器売却を加速させる方針だ。ロシアの脅威にさらされる最前線にある両国の自衛力強化を後押しする。ロシアに対抗する姿勢を明確にし、欧州との関係立て直しにつなげる思惑が透ける。

「ウクライナの主権や領土の一体性に対する米国の支持は揺るがない」。オースティン米国防長官は19日、ウクライナの首都キエフで開いた記者会見で力説した。ロシアは2014年にウクライナ領クリミア半島を併合した。今春には国境近くに10万人以上とみられるロシア軍が集結するなど依然として両国の緊張が続いている。

オースティン氏は18日、訪問先のジョージアでも主権の支持を強調していた。ロシアは08年、ジョージアに侵攻して同国領の南オセチアとアブハジアの独立を一方的に承認した経緯がある。

米国はロシアに対峙するウクライナやジョージアへ武器売却を進める構えだ。オースティン氏は19日に「国や主権を守る能力を引き上げる取り組みを支援するため米国は全力を尽くす」と強調した。

バイデン政権はすでにウクライナに対し、対戦車ミサイルのジャベリンやパトロール艇の売却を決めている。政治専門サイトのポリティコによると、米議会には米国がウクライナに資金提供し、高度なミサイル防衛システムの調達を支援すべきだとの声も出ている。

トランプ政権下でウクライナ政策は政争の具となった。トランプ前大統領が19年、武器売却の条件として20年の米大統領選の有力候補に浮上したバイデン氏(現・大統領)の不正疑惑に関する調査をウクライナに要求した。バイデン政権は武器売却を円滑に進めることで、ウクライナ防衛への米国の関与を印象づける考えだ。

米国務省は今年8月、ジョージアにもジャベリンの売却を承認している。武器売却を推進したトランプ前政権の方針を踏襲した。バイデン氏が副大統領を務めたオバマ元政権はジャベリンの売却に慎重な立場をとっていた経緯があり、バイデン氏の方針転換を意味する。

21日に開幕する北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会を前に、オースティン氏はウクライナやジョージアを訪問し、米欧関係の立て直しにつなげる考えだ。理事会では米軍のアフガニスタン撤収やオーストラリアの原子力潜水艦配備をめぐり生じた米欧関係の亀裂を修復できるかどうかが焦点になる。

欧州側は米国の欧州防衛の本気度を測るうえでウクライナやジョージア政策が試金石の一つになるとみている。ウクライナとジョージアはNATOに加盟しておらず、米国は条約に基づく防衛義務を負っていない。ロシアは米国の関与が薄れたとみれば挑発行動を活発にするとの見方は多い。

バイデン政権は強権的な国家運営を進める中国に対抗するため欧州との連携が欠かせないとみる。ブリンケン米国務長官は10月中旬、欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表と会談し、中国について議論する高官協議を年内に開くことで一致した。

一方でウクライナでは米国に対する不信も根強い。バイデン政権はロシアとドイツを結ぶパイプライン(ノルドストリーム2)に対する制裁の一部を見送った。ウクライナは自国のパイプラインを通るガスが少なくなり、通過料収入が減ることもあげて制裁を訴えていた。

米政権がウクライナよりもドイツとの同盟関係の立て直しを優先したとの見方が目立つ。

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