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乱発される米大統領令 与野党の分断修復遠く

米共和党は不法移民対策をめぐり、バイデン政権を批判している=AP

【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領が政権運営の理念に掲げる米社会の分断修復は進展が乏しい。2022年11月の中間選挙をにらみ、不法移民の急増や治安悪化をめぐる党派対立は激しくなるばかりだ。

「最も非米国的、非民主的、非愛国的だ」。バイデン氏は7月中旬、東部ペンシルベニア州で演説し、共和党が知事職や議会多数派を握る各州で成立する「投票制限法」を強く批判した。制限法はマイノリティーの投票を妨げるとの懸念が強い。バイデン氏は「民主党員なのか、共和党員なのかは関係ない」と強調し、共和党支持層にも制限法に反対するよう訴えた。

ただ、バイデン氏の呼びかけに呼応する動きはほとんどない。米調査会社ギャラップが6月に実施した調査によると、バイデン氏の支持率は56%にのぼるが、共和党支持層に限るとわずか11%にとどまる。民主党支持層(95%)を大きく下回り、米社会の分断がバイデン氏の政策推進の壁になる実態が浮かび上がる。

苦しい政権運営を象徴するのが大統領令の乱発だ。米政府によると、バイデン氏は政権発足から半年間で52本の大統領令に署名した。強引な政権運営と非難されたトランプ前大統領の初期の半年間よりも2割以上多い水準で、オバマ元大統領に比べると2.4倍にのぼる。

上院では民主党(無所属含む)は共和党とそれぞれ50議席ずつで拮抗し、下院でも過半数をぎりぎりで維持しているにすぎない。共和党の協力が得られなければ法案を成立させるのは困難で、法案審議が停滞するなかで公約の実現に向けて大統領令の利用を強いられている。与野党の激戦が予想される中間選挙に向け、早期に実績をアピールする思惑も透ける。

中間選挙を控えて党派対立はむしろ深まっている。それが顕著なのが不法移民対策だ。米税関・国境取締局(CBP)によると、米南西部国境での拘束者数は6月に約19万人にのぼった。過去20年間で最高水準が続く。バイデン政権が不法移民に寛容な姿勢を示していることが急増の要因とみられている。

24年の大統領選の共和党候補として取り沙汰されるフロリダ州のロン・デサンティス知事は米メディアのインタビューで「不法移民が我々の法律を破って全米に移住することを意図的に認めている」と批判した。

治安を巡っても対立が先鋭化している。米ミズーリ大によると、1~3月の都市部での殺人事件は983件と前年同期に比べて24%増えた。民主党は白人警官による黒人暴行死事件を受けて警官による首を絞める行為などを禁止する警察改革法案を進めるが、共和党内では治安の悪化が一段と進むとして反対論が根強い。

トランプ氏が分断修復を妨げている面もある。トランプ氏は6月下旬、退任後初めての選挙集会を中西部オハイオ州で開き、復権に向けて本格的に動き出した。中間選挙に向けて民主党との協力に前向きな穏健派の共和党議員を容赦なく批判し、自身に忠誠心が強い人物を支持している。

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