iPhoneが扉まで音声で誘導 Appleが障害者向け新機能

【シリコンバレー=白石武志】米アップルは17日、スマートフォン「iPhone」などに障害者に配慮した機能を2022年後半に追加すると発表した。音声案内で目的地の扉まで誘導することなどができるようになる。なんらかの障害を持つ人々は世界で10億人を超えると同社はみている。自社の製品・サービスの普及に向けてアクセシビリティー(使いやすさ)の改善に力を入れている。
視覚障害者向けに数メートル先の扉を検出する「ドアディテクション」と呼ぶ新機能をアップルの「拡大鏡」アプリに追加する。同アプリを起動してiPhoneやタブレット端末「iPad」のカメラを建物の入り口付近に向けると、扉までの距離や周辺に書かれた文字などを音声で案内する。
腕時計型端末「Apple Watch」では、体の不自由な障害者向けに「ミラーリング」と呼ぶ機能を追加する。画面をiPhoneに拡大表示し、声による指示で各種アプリなどを操作できる。米国とカナダでは聴覚障害者向けに、ビデオ通話アプリ「フェイスタイム」の会話をリアルタイムで字幕表示する「ライブキャプション」の試験提供を始める。
ドアディテクション機能はレーザーを当てて周辺の物体との距離を測る高性能センサー「LiDAR(ライダー)」を搭載するiPhoneやiPadの上位機種で利用できる。ミラーリング機能は20年発売の「シリーズ6」以降のApple Watch製品が対応する。
アップルはIT(情報技術)業界などが主導する19日の「世界アクセシビリティー啓発デー(GAAD)」にあわせて今回の各種機能を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大でインターネットを通じた情報収集の重要性は高まっており、障害者らにとっての使いやすさはITサービス開発の競争軸にもなっている。